八重瀬(町)(読み)やえせ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「八重瀬(町)」の意味・わかりやすい解説

八重瀬(町)
やえせ

沖縄県沖縄本島南端、島尻郡(しまじりぐん)にある町。2006年(平成18)同郡東風平町(こちんだちょう)、具志頭村(ぐしかみそん)が合併して成立。町名は南部にある八重瀬岳(標高163メートル)により、山名の方音(ほうおん)はエージ。南は太平洋に面し、糸満(いとまん)市の東にあたる。海岸線は海食による断崖絶壁。南部を東西に国道331号が走り、中央を縦貫する国道507号がこれに接続する。最高地点の八重瀬岳一帯は、琉球石灰岩が分布する台地で、北側は急な斜面を形成するが、全体的には平坦な丘陵地帯。東の南城(なんじょう)市との境を雄樋(ゆうひ)川が流れ、北部を饒波(のは)川が西流する。産業の中心サトウキビや熱帯果実、野菜、花卉(かき)栽培などの農業で、酪農も盛んに行われている。那覇(なは)市に近い北部は宅地化が進んでいる。1970年(昭和45)、雄樋川河口近くの港川(みなとがわ)の採石場から1万8000~1万6000年前の人骨が発見された。町立具志頭歴史民俗資料館には、その全身骨格のレプリカや、町の出身者で沖縄の自由民権運動を指導した謝花昇(じゃはなのぼる)の関係資料などが展示されている。第二次世界大戦では、米軍の激しい攻撃を受け、海岸を中心とした一部地域が沖縄戦跡国定公園に含まれる。面積26.96平方キロメートル、人口は3万0941(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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