八海山(読み)はっかいさん

精選版 日本国語大辞典 「八海山」の意味・読み・例文・類語

はっかい‐さん【八海山】

新潟県南東部にある山。駒ケ岳中ノ岳とともに越後三山と呼ばれる。標高一七七五メートル。修験道場として知られる。

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デジタル大辞泉 「八海山」の意味・読み・例文・類語

はっかい‐さん【八海山】

新潟県南東部の山。標高1778メートル。駒ヶ岳中ノ岳とともに越後三山とよばれ、修験道場として知られる。

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日本歴史地名大系 「八海山」の解説

八海山
はつかいさん

北魚沼郡湯之谷ゆのたに村と大和やまと町・六日むいか町の境にあるなかノ岳(二〇八五・二メートル)から北西方の尾根続きに五龍ごりゆう(一六〇〇メートル)入道にゆうどう(一七七八メートル)大日だいにち(一七二〇メートル)薬師やくし(一六五三・八メートル)いけノ峰(一二九六メートル)と並ぶ山々の総称であるが、山頂に大日如来を祀る大日岳を八海山ともいう。また薬師岳から五竜ノ池までの間や、薬師岳手前の千本檜せんぼんひのき小屋からの大日岳往復の間を八ッ峰やつみねと称したりする。中腹より上は断崖絶壁の奇景をなす。中ノ岳とその北の峰続きにあるこまヶ岳(二〇〇二・七メートル)とともに魚沼三山(越後三山)の一をなし、登山口は六日町側からは城内じようない口、大和町側からは大崎おおさき口・大倉おおくら口が開ける。山名については、山上に八つの池があることによって名付けたとするもの(新編会津風土記)、頂上に八層の連峰階梯を登るように続くことから八階はつかい山としたとするもの(越後野志・温古之栞)、山中に八峡はつかいという八つの沢谷のあることより八峡山とするものなど諸説ある。

嘉永二年(一八四九)に行者空明の著した「八海山御伝記」(南雲茂昌氏蔵)によると、もともと国狭槌尊のとどまる山で、空海が湯殿ゆどの(現山形県)開闢の折に越後の海辺を通り、紫雲たなびく八海山に登って霊松の木を見出し、大聖松神社としてこれを祀って三日三夜の護摩修行を行い、大聖歓喜天を勧請して、山頂に不動明王を祀ったとしている。

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改訂新版 世界大百科事典 「八海山」の意味・わかりやすい解説

八海山 (はっかいさん)

新潟県魚沼市,南魚沼市にまたがり,駒ヶ岳(2003m),中ノ岳(2085m)とともに越後三山と呼ばれる。標高1778m。山頂・南西側は新第三紀のレキ岩,北東側の水無川流域は古生代変成岩から形成されている。山頂は北西端の薬師岳から南東端の五竜岳までの鋭い鋸歯状の岩峰からなるが,狭義の八海山は千本檜小屋から大日岳までの鎖場やはしごのつけられた八峰を指す。古くから,修験の霊場として信仰されてきた山であり,多くの岩峰上には神仏が祭られた。登山口にあたる山麓の大崎,大倉,城内にそれぞれ八海山神社の里宮があり,最高峰の大日岳に奥の院がある。三山縦走路は,奥只見電源開発事業の遂行に伴って整備された。越後三山只見国定公園に含まれ,スキー場もある。
執筆者:

八海山信仰は古代以来の山麓部を中心とする山の神信仰と,近世中期に木曾御嶽山(おんたけさん)中興の一人として知られる普寛(ふかん)行者(1731-1801)および泰賢やその流れをくむ行者たちを中心とする信仰との二つに大別することができる。なかでも後者によって八海山信仰が世に広く知られるようになった。しかし,山麓・山中に数百基にのぼる霊神碑,先達・中座を中心とする〈御座(おざ)立て〉など木曾御嶽信仰と重複する要素が多く,むしろ後者の信仰は御嶽山信仰に包摂されるものといえる。前者の山麓部を中心とする山の神信仰は,登拝口にある里宮を中心に,作神として信仰されているが,なかでも山中に散在する多数の池を中心とする水分(みくまり)信仰が顕著である。また,旧暦の八朔(はつさく)の登拝(現,9月1日)と祭り,それに付随する竜灯(竜神が神仏にささげる火と説かれる怪火現象)伝承なども注目される。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「八海山」の意味・わかりやすい解説

八海山
はっかいさん

新潟県南魚沼市(みなみうおぬまし)にある信仰の山。越後三山(えちごさんざん)の表口にあたる主峰の一つで、標高1778メートル。越後三山只見国定公園(えちごさんざんたがみこくていこうえん)地区に指定されている。山体は第三紀中新世の城内(じょうない)層群の安山岩類から構成され、頂上は壮年期侵食を受けて険峻(けんしゅん)な8峰に分かれているところからこの名が生まれた。古くから山伏の国峰修験道場(こくぶしゅげんどうじょう)として名高く、いまも西麓(せいろく)の表参道にあたる大崎口には八海登拝講中の社務所があり、夏季は全国の講中登山客が登る信仰の霊山になっている。登山口はJR上越線五日町駅からの大崎口が一般的で、城内口と水無(みずなし)川からの大倉(おおくら)口もある。裏口には小出(こいで)駅から大湯(おおゆ)温泉を経て枝折(しおり)峠からの三山縦走路があり、冬山スキーの名所になっている。

[山崎久雄]


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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「八海山」の解説

はっかいさん【八海山】

新潟の日本酒。酒名は、越後三山のひとつ八海山に由来。純米吟醸酒吟醸酒本醸造酒、普通酒がある。平成3、4、10、12、15、17年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は山田錦、美山錦、五百万石など。仕込み水は八海山系の伏流水。蔵元の「八海醸造」は大正11年(1922)創業。所在地は南魚沼市長森。

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デジタル大辞泉プラス 「八海山」の解説

八海山

新潟県、八海醸造株式会社の製造する日本酒。特別本醸造酒、大吟醸酒、純米吟醸酒などがある。

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世界大百科事典(旧版)内の八海山の言及

【越後三山】より

…新潟県南東部にある駒ヶ岳(2003m),中ノ岳(2085m),八海(はつかい)山(1775m)の三山を指し,魚沼三山とも呼ばれる。山頂周辺に晩夏まで残る雪田,雪崩によって磨かれた急峻な岩壁,鋭い山稜,谷底の越年性雪渓など,新潟県内では谷川連峰とともに,アルペン的山容を誇っている。…

※「八海山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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