入鉄砲に出女(読み)いりでっぽうにでおんな

精選版 日本国語大辞典 「入鉄砲に出女」の意味・読み・例文・類語

いりでっぽう【入鉄砲】 に 出女(でおんな)

江戸時代関所を越えて、江戸に持ち込まれる鉄砲と、江戸から地方に出る江戸在住の婦女子のこと。鉄砲は謀反などに利用されるのを防ぐため、婦女子人質として江戸居住させられている大名の妻が変装して江戸を脱出するのを防ぐために、関八州の関所、ことに上方に通じる箱根できびしく詮議した。

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百科事典マイペディア 「入鉄砲に出女」の意味・わかりやすい解説

入鉄砲に出女【いりでっぽうにでおんな】

江戸幕府治安維持と大名統制の厳重さを物語る用語。江戸,関八州へ鉄砲がはいることと,人質である大名の妻子国元へ帰ることが特に警戒され,箱根などの関所で特に厳重に改められた。
→関連項目箱根関

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「入鉄砲に出女」の解説

入鉄砲に出女
いりでっぽうにでおんな

江戸時代,関所でとくに検閲を重視した対象。入鉄砲とは江戸へ入る鉄砲のこと。幕府は江戸での反乱防止,治安維持のため関所でこれを監視させた。出女とは江戸から出る女性のことで,江戸に住む大名の妻女逃亡を防ぐため女性の通行を監視した。入鉄砲には幕府老中,出女には幕府留守居発行の関所手形を必要とした。外様藩でも同様の理由で口留(くちどめ)番所で取り締まった例がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「入鉄砲に出女」の解説

入鉄砲に出女
いりでっぽうにでおんな

江戸時代,関所で最もきびしく警戒した対象
江戸に入る武器,江戸から出る大名の妻のことで,治安と大名統制上から厳重に監視された。鉄砲は老中の証書,女子は手形を確かめ,特に箱根・今切・木曽福島の関所できびしかった。

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世界大百科事典(旧版)内の入鉄砲に出女の言及

【関所】より

…これは史料の性格や関所に対する認識の違いによるもので,《諸国御関所書付》によると〈重キ御関所〉26ヵ所,〈軽キ御関所〉28ヵ所の計54ヵ所であるが,このうち前者のみを幕府の関所とみなす論者もいる。 近世の関所の機能を端的に表現するものとして,〈入鉄砲に出女〉の言葉がある。それは関東内への諸大名等の鉄砲以下の武器潜入,江戸藩邸の大名妻子の国許への逃亡を監視することが主任務であったが,幕府の全国支配が貫徹するころには箱根関のように前者の検閲が若干緩和される例もみられた。…

※「入鉄砲に出女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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