入野(読み)いりの

精選版 日本国語大辞典 「入野」の意味・読み・例文・類語

いり‐の【入野】

[1] 〘名〙 入り込んで奥深い野。
万葉(8C後)一〇・二二七七「さ男鹿の入野(いりの)の薄(すすき)初尾花いづれの時か妹が手枕(ま)かむ〈作者未詳〉」
※万葉(8C後)一四・三四〇三「吾(あ)が恋は現(まさか)もかなし草枕多胡(たご)の伊利野(イリの)のおくもかなしも」
[2] 高知県幡多(はた)郡大方町の南部の地名中世、入野氏の居城の地。土佐湾に臨む入野ノ浜は、古くから月の名所として知られ、背後入野松原は昭和三年(一九二八)国名勝に指定。県指定の土佐西南大規模公園の中心部。土佐くろしお鉄道中村線が通じる。
[補注](一)の万葉例は地名とする説もある。→いるの

いる‐の【入野】

京都市西京区の西部大原野平野の入り込んだ地。上羽付近にあり、古くは入野の里といわれ、ススキの名所で歌枕。→いりの
※新古今(1205)秋上・三四六「さをしかのいる野のすすき初尾花いつしかいもが手枕にせむ〈柿本人麻呂〉」
[補注]「万葉‐二二七七」の「入野(いりの)」を「いるの」と訓んだことによるか。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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