入込・入籠(読み)いりごみ

精選版 日本国語大辞典 「入込・入籠」の意味・読み・例文・類語

いり‐ごみ【入込・入籠】

〘名〙 (「いりこみ」とも)
① はいりこむこと。雑多のものが区別なく入りまじること。また、その所。
多聞院日記‐文祿三年(1594)六月八日「なら中男女入こみに見物の間に」
浄瑠璃・百合若大臣野守鏡(1711頃)二「諸国貴賤のいりごみも、皆本ぶくで帰るさは、坂迎ひ湯や送り酒」
② 雑多な人を収容する場所。劇場、寄席などで、区別をしないで多人数の客をいっしょに入れる安い席。大衆席。おいこみ。いれこみ。また、客の多く入場することをいう。いれこみ。
※わらんべ草(1660)三「同楽屋之次第 大夫 左脇太夫 狂言太夫〈略〉、上手次第、余は入ごミ」
③ 男女の混浴。また、その浴場。入り込み湯。いれこみ。
※俳諧・西鶴大句数(1677)五「下帯とかすにさもしやかたかた 夕月入込の湯は是非もなし」
④ 他村の持ち山に、許可を受けてはいり、柴草を採取すること。入会稼(いりあいかせぎ)
⑤ 奉公しようとする女中が、あいさつした翌日に主家に来て過ごすこと。ふつう二泊ぐらいするが、この間に主人側がその女を観察して信用すべき者かどうかを決める。
嫁入り

いれ‐こ・む【入込・入籠】

[1] 〘他マ五(四)〙
① 他のものの中に入れて、位置させる。
良人自白(1904‐06)〈木下尚江〉続「厄介物の親戚宗七を白井相続人に入れ込まうと云ふのだ」
上方遊里で、見習期間である入れ込み③が終わって新造にする。
洒落本・短華蘂葉(1786)「おまへ夕べいれこんだ子ぢゃによって、そこらはいさゐかまわずさ」
③ 飲む。食う。
歌舞伎与話情浮名横櫛(切られ与三)(1853)序幕「ゆっくりいれ込んでいってもいいさ」
④ 夢中になる。熱中する。
新西洋事情(1975)〈深田祐介〉フランス式「蛙思考」のふしぎ「学生時代は密航してもフランスへ渡りたいとおもったほどのいれこみようで」
[2] 〘他マ下二〙 ⇒いれこめる(入込)

いれ‐こみ【入込・入籠】

〘名〙 (「いれごみ」とも)
① 入れこめること。多くの人を性別、身分などの別なくひと所に入れること。また、その場所。いれこめ。いりごみ。
※団団珍聞‐五五七号(1886)「湯屋の衣服を脱ぐ戸棚に等しくあかの他人を入(イ)れ込(ゴ)みにて」
② 男女の混浴。いりごみ。
※歌舞伎・黄門記童幼講釈(1877)四幕「『互ひに白い肌と肌』『お見せ申すも恥しい』『はて入込(イレゴ)みは、斯うしたものぢゃ』」
③ 上方の遊里で、金を出して素人の女を抱え、芸娼妓としての準備教育を施すことをいう。また、その期間中の女。しこみ。
※洒落本・短華蘂葉(1786)「ひげそりへ、二(ふ)た入れ込みした事が有わいな」
④ 開場から開幕までの時間。転じて、寄席で、最初に高座に出る芸人。前座。

いれ‐こ・める【入込・入籠】

〘他マ下一〙 いれこ・む 〘他マ下二〙 他のものの中に入れる。
※源氏(1001‐14頃)東屋「屏風の袋にいれこめたる、所々に寄せかけ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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