入浜権(読み)イリハマケン

デジタル大辞泉 「入浜権」の意味・読み・例文・類語

いりはま‐けん【入(り)浜権】

すべての国民が自由に海岸に立ち入り、海水浴魚介類採取などを享受できる権利

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入浜権」の意味・わかりやすい解説

入浜権
いりはまけん

海浜や海岸に自由に立ち入り,魚介類の採取や海水浴など自然の恩恵を享受できる権利。1973年,兵庫県高砂市公害を告発する住民運動から生まれた理念で,山林入会権から着想された。高度成長期,日本各地で自然海岸を埋め立てて臨海工業地帯がつくられ,住民は企業が占有する海岸に立ち入れなくなった。住民団体は,海岸の自由使用権が認められれば自然破壊や公害を監視できると考え,入浜権運動を展開。1975年「海を活かしコンビナートを拒否する東京集会」で「古来,海は万民のもの」に始まる「入浜権宣言」が採択され,埋め立て反対運動は全国に広がった。しかし入浜権をめぐる裁判では,海岸・海浜は国が管理するものとする自然公物論により入浜権が否定され,運動は下火になった。(→環境アセスメント公物

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世界大百科事典(旧版)内の入浜権の言及

【環境権】より

…今後,環境権の理念を,多くの公害判例で違法性判断の理論として採用されている受忍限度論の中にいかに吸収し,統合的に発展させていくかが,法学上の課題であろう。 なお,公共の財産である海岸で自由に魚釣り,遊泳,散歩等を楽しむことのできる権利として〈入浜権〉が主張されるようになったが,これについても環境権と同様議論がある。公害【野村 好弘】。…

※「入浜権」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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