免田【めんでん】
古代から中世の公領・荘園で,国衙もしくは領主に納めるべき官物(かんもつ)すなわち年貢と,公事(くじ)すなわち雑役(ぞうやく)の全部または一部を免除された田地。10世紀以降租を出さない不輸(ふゆ)の田は官物を免除された田と考えられるようになり,免田の概念が形づくられた。11世紀頃からは雑役のみを免除された雑役免田も現れる。11世紀後半から荘園・公領の領域化が進むと,所領経営に必要な費用を賄い,あるいは各職務に対する報酬に充てるため,各所領ごとに年貢・公事とも免除された免田が設定された。主なものに寺田・神田,地頭・荘官などの人給免(にんきゅうめん),井料免(いりょうめん)などがあった。
→関連項目浮免
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めん‐でん【免田】
〘名〙
① 国衙におさめる官物雑役のうち、雑役を免除された田地。雑役は給主が直接徴収した。雑役免。
②
荘園制で領主に対する公事の納入を免除された田地。給田または給名として地頭、庄官、
手工業者などに報酬として領家から支給された給免田。
※東寺百合文書‐ウ・天喜四年(1056)一二月五日・讚岐国善通寺田畠地子支配状案「免田地子并畠地子等支配
所定起請如件」
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免田
めんでん
荘園制において,領内社寺,荘官,手工業者などに支給された年貢・公事免除の田地。公事だけ免除された田を雑役免田,一色田と呼んだ。
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免田
めんでん
荘園において,領主への年貢・公事 (くじ) を免除された田
地頭・公文 (くもん) などの荘官に与えられる給田も免田の一種。このほか,鋳物師免とか薬師免などいろいろある。公事のみ免除される場合は雑役免田といった。
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デジタル大辞泉
「免田」の意味・読み・例文・類語
めん‐でん【免田】
荘園制で、荘園領主に対して年貢・公事などを免除された田地。寺社・荘官などに領内経営の報酬として与えられた。
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めんでん【免田】
古代~中世の国衙領,荘園において,国衙や荘園領主に対する官物(かんもつ)(年貢),公事(くじ)(雑役(ぞうやく))が免除された田地。令制でも租を出さない不輸租(ふゆそ)田や輸地子(ゆじし)田があったが,これらは本来種々の行政上の用途に充てるために設定された田であり,令制の不輸は免除と異なる意味をもっていた。ところが10世紀以降になると,田地の不輸は官物の免除とみなされるようになり,免田の概念が成立してくる。
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世界大百科事典内の免田の言及
【浮免】より
…10世紀以降,国衙領や荘園における免田の一形態。官物(かんもつ)(年貢)や雑役(ぞうえき)が免除される下地が固定せず浮動するもの。…
【公事】より
…こうしてさまざまな公事が荘園,所領や国衙領の田畠・在家に課されるようになり,それらはあわせて〈雑公事〉とか〈万雑公事(まんぞうくじ)〉とかいわれた。雑公事が免除される田畠・在家もあったが,これらは免田,免畠,免在家と呼ばれ,特定の公事を務める人に対して報酬として免除されたものであって,その人はそれらの田畠・在家から雑公事分の得分を得ていた。(3)中世末~近世の訴訟の別称 室町時代になると課役としての公事は,公事役とか公事物とか呼ばれ,その内容,種類も増えたが,それと並行しながら訴訟を公事と表現する用法が広まった。…
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