光線束(読み)こうせんそく(英語表記)pencil of light rays

精選版 日本国語大辞典 「光線束」の意味・読み・例文・類語

こうせん‐そく クヮウセン‥【光線束】

〘名〙 幾何光学用語で、集合して一群となった光線のたば。発散光線束、収斂(しゅうれん)光線束、平行光線束など。光束

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デジタル大辞泉 「光線束」の意味・読み・例文・類語

こうせん‐そく〔クワウセン‐〕【光線束】

幾何光学における光線の集まり。光束。

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改訂新版 世界大百科事典 「光線束」の意味・わかりやすい解説

光線束 (こうせんそく)
pencil of light rays

一つの点光源から発する多数の光線を考え,これらの光線上で光源から光路長の等しい点を結んでできる曲面を(光波の)波面という。この曲面は光源からそこへ至る所要時間の同じ点の集りであり,同時に放射された光の波の等位相面である。光は光源から面上の点までの間で所要時間が最小となる径路をとる(フェルマーの原理)から,光線はいずれもこの曲面に垂直である。一般に一つの直交曲面を共有する光線の集りを光線束という。いろいろな光線の集りの中で光線束をとり出して考える理由は,〈ある一つの曲面を垂直に通過する光線群は,反射屈折を何度か繰り返した後も,また他の一つの曲面に直交している〉というマリュス定理Malus' theorem(1808年にフランスのマリュスÉtienne Louis Malus(1775-1812)が発表)が成り立つからである。この定理は屈折率が連続的に変化する物質中を通過する光線群についても成り立つ。この定理は,また,光の波長に比べて十分大きな空間で,均質な媒質中では直進し,異なる媒質との境界面では,スネルの法則に従って反射,屈折をする光線の作る光源の像のでき方を研究する幾何光学では基礎定理の一つとなっている。一つの平面を共有する光線束,すなわち平面波または平行光はその一つの光線を軸とする回転放物面鏡においてその焦点に集光する。このように1点に交わる光線束を共心光線束という。これに対し,平行光を斜めにレンズへ入射させると,レンズの中心を通る光線を含む面のなかで,レンズの軸を含む面内で光が集まる所と,これに垂直な面内で光が集まる所とが違ってくる。このように直交する二つの断面で焦点の異なる光線束を非点光線束という。非点収差は光学系に入射した共心光線束が,非点光線束に変わるために生ずる収差である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「光線束」の意味・わかりやすい解説

光線束
こうせんそく
pencil of rays

光線の集り。幾何光学では光の通る道筋を示すのに光線を用い,光エネルギーの流れは多数の光線の集りであると考える。すべての光線またはその延長が1点で交わるときを共心光線束,1点に集中してゆくようなときを集束光線束,1点から広がってゆくときを発散光線束という。また1点に交わらないときを非点光線束という。

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