光生物学(こうせいぶつがく)(読み)こうせいぶつがく

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

光生物学(こうせいぶつがく)
こうせいぶつがく

生命活動は究極的には光エネルギーに依存するが、光はそれ以外にも生物の生活・行動や発生・成長・分化と密接なかかわり合いをもっている。こうした光が関与する生命現象を、物理・化学的方法を用いて追究する生物科学の一分野が光生物学(光(ひかり)生物学ともいう)である。

 太陽光をはじめ、光の生物に対する作用は、エネルギー源としての作用と、情報源としての作用に2大別される。エネルギー源としての作用には植物の光合成があり、情報源としての作用には、植物の光形態形成、光屈性、光周性や、動物の光感覚(広義視覚)、光走性、光周性などがある。これらの生命現象の諸過程と光との相互作用、つまり、光受容体による光量子の受容の際の物理的・化学的反応から個体のレベルで現れる生体反応に至るまでを、一連機構のなかで探究するのが光生物学の目的であるといえる。また、ホタルウミホタル発光細菌でみられるような、生体自身が光エネルギーを放出して発光する現象(生物発光)では、発光機構と発光の生物学的意義が研究の対象となる。

 近年、光生物学は、太陽エネルギーの利用や自然環境保全のような生態学的観点からも注目されている。

[勝見允行・山口恒夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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