光と風と夢(読み)ヒカリトカゼトユメ

デジタル大辞泉 「光と風と夢」の意味・読み・例文・類語

ひかりとかぜとゆめ【光と風と夢】

中島敦中編小説、および同作を表題作とする小説集。昭和17年(1942)、「文学界」誌に掲載され、第15回芥川賞候補作となる。作品集は同年刊行で、ほかに「山月記」「斗南先生」などの作品を収める。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「光と風と夢」の意味・わかりやすい解説

光と風と夢
ひかりとかぜとゆめ

中島敦(あつし)の中編小説。副題に「五河荘(ごかそう)日記抄」とある。原題は『ツシタラの死』。『文学界』1942年(昭和17)5月号に掲載。同年7月、同名の作品集を筑摩(ちくま)書房より刊。『宝島』などの作者R・L・スティーブンソンの、サモア島における晩年の生活を、書簡手記などを素材にして再構成しつつ、中島自身の死生観、文学観などを投影したもの。植民地南洋を舞台とするものだったため、時局的な作品と一部からみられる不幸もあったが、その本質は、デーモンに憑(つ)かれた芸術家の内面を鮮烈に描く秀作である。この年上半期の芥川(あくたがわ)賞候補作(この期受賞作なし)となった。

[佐々木充]

『『日本の文学36 中島敦他』(1972・中央公論社)』

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