優(漢字)

普及版 字通 「優(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 17画

[字音] ユウ(イウ)・ウ
[字訓] わざおぎ・やさしい・まさる・すぐれる・ゆたか

[説文解字]

[字形] 形声
声符は憂(ゆう)。憂は喪に服して愁える人の形。未亡人のときには寡という。喪に服してかなしむ人の姿を優といい、またその所作をまねするものを優という。〔説文〕八上に「饒(おほ)きなり。一に曰く、倡(うた)ふものなり」とするが、もとは所作事を主とするものであった。〔説文〕にを憂、憂を優の義に解し、優には饒多の義を以て正訓とするが、もと俳優の優。死者の家人に代わって、神に対して憂え申す所作を演じたのであろう。のち山水の間に游んで神を慰め楽しませることを優游といった。〔詩、大雅、巻阿〕は山水の間に遊ぶ詩で、「爾(なんぢ)の游を奐(ばんくわん)にし 爾の休(慶)を優游にせよ」のように用いる。游も神とともに遊ぶ意である。神事的な遊楽が、のち娯楽のためのこととなり、調戯のこととなって、〔左伝、襄六年〕「少(わか)くして相ひ狎れ、長じて相ひ優(たはむ)る」とは戯れ合う意。もとは俳優の俳が調戯、優は憂愁の姿態をなす者であったが、その初義は早く失われたようである。

[訓義]
1. わざおぎ、喪礼のわざおぎ。
2. やさしい、しとやか、ものしずか、のびやか。
3. まさる、すぐれる、おおい、あつし、ゆたか、美好
4. たわむれる、ざれる。

[古辞書の訓]
名義抄〕優 アツシ・マサレリ・メグシ・ユタカニ・ユタカナリ・ユルス・マスマス・タハブレ・タハブル・ヤスシ・ウレフ・スグル・イウナリ

[語系]
優・憂iuは同声。拗ieyuと声近く、憂愁の態には身をくねらせ、声にも拗声を用いたのであろう。

[熟語]
優渥・優異・優逸優越優婉・優艶・優恩・優仮・優雅優閑・優間・優寛・優緩優戯・優給・優遇・優劇優眷・優賢・優顕・優言・優厚優洽優諢・優子・優旨・優辞優侏優殊・優秀・優柔優恤優叙・優升・優笑優陞・優勝・優奨・優賞優倡優饒・優深・優慎・優人・優崇・優勢優惜・優錫優僭・優遷・優贍・優然・優待・優貸・優秩・優・優長・優・優等・優答・優任・優俳・優博・優美・優筆・優福・優報・優命・優免・優游・優優・優与・優余・優容・優養・優賚・優楽・優隆・優礼・優伶・優麗優劣・優老
[下接語]
伊優・加優・才優・最優・女優・倡優・饒優・徳優・俳優・名優・伶優・老優

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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