ぞう ザウ【像】
〘名〙
① 物の形。人のすがた。また、神・仏・人・獣などの形をまねて作ったり描いたりしたもの。
※観智院本三宝絵(984)中「昔の
国王のつくれる
観音の像あり」 〔水経注〕
※
日蓮遺文‐
開目抄(1272)「
秀句に云く、代を語れば則像の終り末の初め、地を尋れば則唐の東羯の西」
③
物体から出た光が、
レンズや鏡によって
屈折または
反射した結果、
光線が
集合して物体と
相似の形を形成したもの。実際に集合してつくる像を
実像という。また、レンズや鏡を通過または反射した光が、実際には集合しないが、あたかもある像から発したように進む場合、この光を目に受けると、その像のところに物体が存在するように見えるのを
虚像という。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕
④
数学で、
写像によって元または集合に対応する元または集合。fが集合Aから集合Bへの写像のとき、fによってAの元aに対応するBの元bを、fによるaの像といい、
f(a) で表わす。また、Aの部分集合Mの元のfによる像の全体を、fによるMの像といい、f(M) と書く。
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像
ぞう
image
数学用語。集合 X のおのおのの元 x に集合 Y の1つずつの元 y を対応させる写像を f:X→Y とする ( X から Y の上への写像) 。 f によって X の元 x に対応する Y の元 f(x) を,f による x の像という。さらに X の部分集合 S のすべての元の像の集合を f(S) と書き,これを f による S の像という。 f(S) は Y の部分集合である。たとえば実数の集合 R から R の上への写像が y=f(x)=x2+1 で与えられているとき,R の像は y≧1 を満足する実数 y の集合である。特に f(x) のことを単に f の像という。
像
ぞう
image
光学用語。1点から出た光線束がレンズや曲面鏡を通ったのち,再び1点に集るとき,その後者の点 (像点) を前者の点 (物点) の像という。光線は逆に進めば,完全にもとの道をたどるので,像点と物点とは互いに共役である。光線が実際に像を通る場合にその像を実像,実際には通らないが光線を逆に延長したとき像点に集る場合にその像を虚像という。
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デジタル大辞泉
「像」の意味・読み・例文・類語
ぞう〔ザウ〕【像】
1 物の形。人の姿。「障子に人の像が映る」「嘱望される青年の像」
2 神仏・人・鳥獣などの形をまねて描いたりつくったりしたもの。「観音の像」
3 物体から出た光線が鏡やレンズで反射または屈折して生じる、その物の形。実像と虚像とがある。「像を結ぶ」
4 数学で、集合Aまたはその元から集合Bまたはその元への写像で、Aの要素に対応するBの要素。
5 (名詞の下に付き、接尾語的に用いて)ありさま、あり方、思い描く姿などの意を表す。「人物像」「夫婦像」「未来像」
[類語]肖像・ポートレート・画像・影像・彫像・塑像・自画像・画面・実像・虚像・残像
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ぞう【像 image】
物体の1点から出た光線束が光学系による反射と屈折を経た後,再び1点で交わるとき,光線束の出る物体の1点を物点,再び交わる1点を像点といい,像点の集まったものを像と呼ぶ。光学系を通過した光線束が実際に1点に集まる場合を実像real image,光線を逆向きに延長したときに1点で交わる場合を虚像virtual imageという。例えば凸レンズによる太陽の像は実像であるが,姿見に映った像は虚像である。実像の位置に感光材料をおけば像を記録できるが,虚像では不可能である。
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世界大百科事典内の像の言及
【写像】より
…2変数の関数f(x,y)は,平面の点(x,y)に,関数の値f(x,y)を,それぞれ定めていると考えられる。この考えを一般にしたものが写像である。つまり,集合Aの各元に,集合Bの元を,ある規則によりそれぞれ定めているとき,この規則をAからBへの写像という。…
※「像」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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