傾国(読み)けいこく

精選版 日本国語大辞典 「傾国」の意味・読み・例文・類語

けい‐こく【傾国】

〘名〙
① 国家の存立をあやうくすること。
※宝生院文書‐永延二年(988)一一月八日・尾張国郡司百姓等解「専城之吏、忠節已空、分優之職、掌政永絶、所謂傾国之讎、害人蠧、豈過於斯哉」 〔史記‐項羽本紀〕
② (「漢書‐外戚伝上・光武李夫人」の「一顧傾人城再顧人国」から) 美人美女傾城(けいせい)
※太平記(14C後)一「詩人採て后妃の徳とす。奈何かせん、傾城(けいせい)傾国(ケイコク)の乱今に有ぬと覚て、浅増(あさまし)かりし事共也」
遊女。傾城(けいせい)
※評判記・名女情比(1681)五「今遊女のかみにをきて、末代の傾国に、此なさけをしめす物ならし」
遊里遊郭
浮世草子御前義経記(1700)四「傾国(ケイコク)にて亡夫魂の追善、今日をかぎりて揚屋座敷

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デジタル大辞泉 「傾国」の意味・読み・例文・類語

けい‐こく【傾国】

《「漢書」外戚伝の「北方佳人有り。…一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の国を傾く」から》
君主が心を奪われて国を危うくするほどの美人。絶世の美女。傾城けいせい
遊女。
白地の娘ども、―の風俗見習ひ」〈風俗文選・百花譜〉
遊里。遊郭。
「あるいは花見の、開帳の、または―、猿芝居、人立ち多き所にて」〈浄・女楠
[類語](1美人別嬪べっぴん美女麗人佳人かじん美形美姫びき尤物ゆうぶつ名花解語の花シャン小町マドンナ色女大和撫子美少女傾城/(2芸者芸妓芸子綺麗どころ左褄名妓美妓傾城けいせい半玉花魁おいらん

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普及版 字通 「傾国」の読み・字形・画数・意味

【傾国】けいこく

国を危うくする。絶世の美女。唐・李白〔清平調、三首、三〕詩 名傾國兩(ふたつ)ながら相ひ(よろこ)ぶ 常に君王の笑を帶びて看ることを得たり

字通「傾」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の傾国の言及

【傾城】より

…語源は《漢書》に見える〈一顧傾人城 再顧傾人国〉の詩による。この句から傾城とも傾国ともいう。ただし,原句は絶世の美女の形容であり,遊女ではなかったが,日本では平安時代から江戸時代まで遊女の別称として使われた。…

※「傾国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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