傍・旁・側・脇(読み)かたわら

精選版 日本国語大辞典 「傍・旁・側・脇」の意味・読み・例文・類語

かた‐わら ‥はら【傍・旁・側・脇】

[1] 〘名〙
① 物の横側。物の脇。
書紀(720)神代上(水戸本訓)「彼の大虵、頭毎に各の石松(いはほまつ)有り。両の脇(カタハラ)に山有(な)れり」
② 物や人のそば近くの所。何かに近接した所。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「宮のつい並び給へば、花のかたはらのときは木のやうに見え給ふこそ」
源氏(1001‐14頃)夕顔「この家のかたはらに、檜垣(ひがき)といふものあたらしうして」
③ そばにいる人。まわりの人。
※紫式部日記(1010頃か)消息文「色めかしくあだあだしけれど、本性(ほんじゃう)の、人から癖なく、かたはらのため見えにくきさませずだになりぬれば」
④ 何かの、はしに片よった所。通路や道路などのはし。道わき。みちばた。
※枕(10C終)一二〇「わがのぼるは、いとあやふくおぼえて、かたはらに寄りて、高欄おさへなどして行くものを」
⑤ 都市などの中心から離れたへんぴな所。人目につかないような片隅の場所。片田舎
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「義朝の少(おさな)い人々の候ふを、取りいだされ失はるべしと承り、かたはらにしのびて候ひつれども」
謡曲道成寺(1516頃)「これはこの国の傍に住む白拍子にて候」
⑥ 動詞の連体形格助詞「の」の下に付いて、形式名詞的に用いられ、「あることをしながら、それと並行して」の意を表わす。その一方
小学読本(1874)〈榊原那珂稲垣〉五「母一人にて紙を商ふ傍らに小銭など両替して生業とせり」
[2] 〘副〙 ((一)⑥の転じたもの) あることをしながら、その一方では。かたがた。
花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉二六「逃亡の策を考へ、側(カタハ)ら両賊の談を聞く」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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