偽装(読み)ギソウ

デジタル大辞泉 「偽装」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐そう〔‐サウ〕【偽装/擬装】

[名](スル)
ある事実をおおい隠すために、他の物事状況をよそおうこと。「心中に―した殺人」「―工作
周囲のものと似た色や形にして姿を見分けにくくすること。特に、戦場などで行うもの。カムフラージュ。「戦車を―する」
[類語]仮装扮装変装やつす仮病やせ我慢見せ掛ける装う粉飾狂言カムフラージュ決め込む芝居を打つ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「偽装」の解説

偽装

毎年末に京都・清水寺で発表される「2007年の漢字」に「偽」が選ばれるなど、2007年は食品偽装問題が相次いだ年だった。ちなみに「偽」は、投票総数9万816票のうち1万6550票を集め、2位の「食」の7倍近い数字であった。 07年1月に洋菓子の不二家埼玉工場で消費期限切れの牛乳を使ってシュークリームを製造していたことが内部告発され、洋菓子の販売中止に追い込まれた。8月に北海道の人気土産品「白い恋人」(石屋製菓製造)で賞味期限改ざんが発覚し、こちらも販売を中止した。 また10月に、同じ北海道の食肉加工販売会社ミートホープが、長年にわたって、鶏肉内臓などを混入した牛ミンチを製造したり、外国産を国産と偽るなどの不正を続けており、それが田中社長自らの指示によるということで、不正競争防止法違反(虚偽表示)で逮捕された。さらに、偽装問題は歴史ある老舗にも及んでおり、10月に伊勢名物の「赤福」で消費期限改ざんが発覚した。余分に製造した商品や売れ残りの商品を冷凍保存し、解凍して出荷する際に、その出荷日を製造年月日にするという「まき直し」が偽装表示と見なされ、販売中止となった。また、10月末に有名料亭「吉兆グループの「船場吉兆」(大阪、福岡)で、商品の原材料である九州産牛肉を「三田牛」や「但馬牛」というブランド牛と偽るなどの食品表示偽装問題が発覚し、営業を自粛し、経営陣を一部改変した。いずれも、企業のコンプライアンス(法令順守)の精神が問われた事件であった。

(稲増龍夫 法政大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の偽装の言及

【カムフラージュ】より

…軍隊,兵器,施設,工事などが敵に発見されないようにするために,あるいは軍事的に価値のないものを重要な軍事目標であるかのように見せかけるために用いられる手段,方法であって,偽装ともいう。カムフラージュには目標を偽装用のシートで覆って隠したり,めだたない色と模様の迷彩を施し,背景と調和させて見わけられないようにしたり,その外観をまったく変えてしまうように変装するなどの方法がある。…

※「偽装」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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