偽・詐(読み)いつわる

精選版 日本国語大辞典 「偽・詐」の意味・読み・例文・類語

いつわ・る いつはる【偽・詐】

〘他ラ五(四)〙 事実や自分の本心を隠して、それと違うことを言ったりしたりする。本当らしく思わせるようにふるまう。うそを言う。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「此の世界は人の情了に戻り曲り謟(へつら)ひ妄(イツは)り欺く」
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「ことをいつはりて、物を盗めるなり」
[語誌]平安初期には「うつはる」の形もあったが、中期以降、専ら「いつはる」だけが用いられるようになった。類義語「あざむく」が、人を意のままにあやつる、だましそそのかす意が中心であるのに対し、「いつはる」は、自らの本心や真実を隠すために、虚偽を主張する意を本義とする。→うつわるあざむく

いつわり いつはり【偽・詐】

〘名〙 (動詞「いつわる(偽)」の連用形名詞化)
① 事実でないことや、あてにならないことを、言ったりしたりすること。そらごと。うそ。虚偽。
書紀(720)神武即位前戊午年八月(北野本訓)「願はくは此の詐(イツハリ)を知らしめて」
古今(905‐914)恋四・七一二「いつはりのなき世なりせばいかばかり人の事の葉うれしからまし〈よみ人しらず〉」
② (自然に対して)人為を加えること。また、そのもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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