倭文(読み)シズ

デジタル大辞泉 「倭文」の意味・読み・例文・類語

しず〔しづ〕【倭文】

上代は「しつ」》カジノキなどを赤や青の色に染め、縞や乱れ模様を織り出した日本古代織物綾布あやぬの倭文布しずぬの倭文織しずおり。しずり。しどり。
「ちはやぶる神のやしろに照る鏡―に取り添へ」〈・四〇一一〉
[補説]異国文様に対する意で、「倭文」の字を当てたという。

しどり【倭文】

《「しずおり」の音変化。古くは「しとり」》「しず」に同じ。

しつ【倭文】

しず(倭文)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「倭文」の意味・読み・例文・類語

しず しづ【倭文】

〘名〙 (古くは「しつ」) 古代の織物の一種梶木(かじのき)、麻などで筋や格子を織り出したもの。荒妙(あらたえ)。しずおり。しずぬの。
万葉(8C後)一七・四〇一一「ちはやぶる 神の社に 照る鏡 之都(シツ)に取り添へ 乞ひ祈みて 吾(あ)が待つ時に」

しずり しづり【倭文】

〘名〙 (古くは「しつり」) 「しずおり(倭文織)」の変化した語。
※読本・雨月物語(1776)蛇性の婬「狛錦・呉の綾・倭文(シヅリ)・縑(かとり)・楯・槍・靱・鍫の類」

しどり【倭文】

〘名〙 (「しつおり(倭文織)」の変化した語。古くは「しとり」) 古代の織物の一つ。梶木(かじのき)、麻などの緯(よこいと)を青、赤などに染め、乱れ模様に織ったもの。しず。しずぬの。

しつ【倭文】

〘名〙 ⇒しず(倭文)

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世界大百科事典(旧版)内の倭文の言及

【緑[町]】より

…人口5988(1995)。中央部の丘陵を分水界に,北側の倭文(しとおり)地区は播磨灘に注ぐ三原川の,南側の広田地区は大阪湾に注ぐ洲本川の流域である。広田には大正初期に乳牛が導入され,以後,淡路の酪農の中心となった。…

【久米[町]】より

…人口8023(1995)。津山盆地西端の平たん地が久米川,倭文(しとり)川沿いに開け,東西に丘陵がのびる。美作と山陽,山陰の接点に位置する古くからの交通・軍事上の要地で,現在もJR姫新線,国道181号,429号線が通じる。…

【宇治紫文】より

…一中節菅野派の家元2世菅野序遊の弟子で都派に転じて都一閑斎,1849年(嘉永2)に宇治派を創立し宇治紫文斎と号す。新作を妻の倭文(わぶん)と作り,基礎を固めた。狂歌師として千種庵諸持と号した。…

※「倭文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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