信仰告白(読み)シンコウコクハク(英語表記)creed
confession

デジタル大辞泉 「信仰告白」の意味・読み・例文・類語

しんこう‐こくはく〔シンカウ‐〕【信仰告白】

キリスト教イスラム教などで、神に対する自己の信仰を明白な言葉で言い表すこと。→信条3

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精選版 日本国語大辞典 「信仰告白」の意味・読み・例文・類語

しんこう‐こくはく シンカウ‥【信仰告白】

〘名〙 キリスト教で、救主イエスに対する自己の信仰を明白なことばで言い表わすことをいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「信仰告白」の意味・わかりやすい解説

信仰告白 (しんこうこくはく)
creed
confession

キリスト教において信仰の根本を明確な言葉で表したもので,信仰の規準となり,礼拝文にも用いられるもの。カトリックでは〈信条〉と呼ぶ。旧約聖書の《申命記》26章5~9節は最古の信仰告白といわれ,イスラエルのエジプト下り,エジプト脱出,カナン侵入が歴史の支配者たる神の導きによるものと述べられている。新約聖書にはイエスの死と復活を中心とする信仰告白があり,それは宣教の基礎となり,洗礼式文としても用いられた。教会の最古の信条としては2世紀後半の〈ローマ信条〉がある。これはのちの〈使徒信条〉のもととなったものであるが,本文は〈使徒信条〉から推定される。その後,三位一体をめぐる論争決着をつけた〈ニカエア信条〉(325),キリスト論をめぐる論争に決着をつけた〈カルケドン信条〉(451)があり,さらに後者より少し前につくられたと推定されるが,上記二つの問題を顧慮して書かれたいわゆる〈アタナシオス信条〉がある。これらは正統的・公同的信条とされているが,東方正教会は〈ニカエア信条〉以外は実際に用いないし,一般に信条をつくろうとしない。

 宗教改革者はこれらの信条を受け入れたが,同時に〈信仰義認〉の新しい理解にもとづく信仰告白を形成した。それは〈教会が立つか倒れるかの条項〉といわれる。〈アウクスブルク信仰告白〉(1530),〈スコットランド信仰告白〉(1560),〈和協信条〉(1577),〈ドルトレヒト規定〉(1618)がそのおもなものである。信仰告白が教派間の対立を目的とするとき本来意義を失うといわざるをえないが,ナチズムとの闘争の中で〈ドイツ・キリスト者〉と対決した告白教会の〈バルメン宣言〉(1934)は,宗教改革的な重さをもったものといえよう。日本では第2次大戦後に再発足した日本基督教団の信仰告白(1954)があり,〈使徒信条〉を告白することを宣言してそれを付している。
信条
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信仰告白」の意味・わかりやすい解説

信仰告白
しんこうこくはく
Confession of faith

キリストに対する個人または教会の信仰を明言すること。主としてプロテスタント用語。カトリックでは信仰宣言,信仰個条 (信条 ) という。宗教改革運動は,みずからの信仰を宣言し,教義の主要部分を定式化してその正統性を明らかにしようとする多くの告白書を生み出した。なかにはプロテスタント諸派の調停を試みたものもあり,動機に応じてその名称も信仰告白,条項,宣言,一致信条,和協信条,信仰問答など,さまざまである。おもなものは (1) ルター派 アウクスブルク信仰告白 (1530) ,M.ルターの大小教理問答書 (29) ,シュマルカルデン条項 (37) ,和協信条 (77) 。 (2) カルバン派  J.カルバンのジュネーブ信仰問答 (42) ,チューリヒ一致信条 (40) ,ハイデルベルク信仰問答 (63) ,ウェストミンスター信仰告白 (1643) 。 (3) 会衆派 サボイ宣言 (58) など。時代の進展とともに信仰告白は内容の再検討を迫られ,世界の動向に対応する姿勢を問われるようになる。 1920~30年代は特に国家の政治路線に関して告白教会のバルメン宣言が出された。また,アメリカ合同長老教会の「信仰告白 1967」などは社会状況への対応を示したものだった。個人的信仰告白は教会のそれへの同意によって成り立ち,堅信式,信仰告白式で行われる。

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世界大百科事典(旧版)内の信仰告白の言及

【信条】より

…たとえば〈ピウス4世の信条〉あるいは〈トリエント信仰宣言〉(1564)と呼ばれる信仰宣言は,トリエント公会議の決議を定式化したもので,教会関係者にはこの定式による信仰宣言が1967年まで義務づけられていた。プロテスタント諸教会についてみると,ルターはカトリック教会が用いた基本信条を認めながらも,信仰告白の形で新たな内容を付加した。〈アウクスブルク信仰告白〉(1530)がその例で,これらはのちにルター派の信条集としてまとめられた。…

※「信仰告白」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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