保護猫カフェ(読み)ほごねこかふぇ

知恵蔵 「保護猫カフェ」の解説

保護猫カフェ

飼い主が手放したり、保健所や愛護センターなどから引き取られたりした猫と人が触れ合う機会を提供し、飼育を希望する人には、面談などを行った上で猫を譲渡している猫カフェ。保護猫のオープンシェルターである。捨て猫や野良猫を保護する団体と連携するか、また保護猫カフェ自体がそのような活動の拠点となっており、過剰な繁殖を防ぐための避妊・去勢手術の支援や情報提供、啓発活動なども行っている。
環境省によると、各都道府県にある動物管理センターが引き取る猫の数と、そのうちの殺処分率は年々減少傾向にあるが、それでも2016年度は成猫・子猫あわせて約45,000頭以上が殺処分されている。このような現状を改善するため、猫を保護し、飼い主をマッチングする場の一つとして、「保護猫カフェ」がある。
入場料を払って一定の時間、カフェ内に滞在し、猫と触れ合うことができるという点では、一般の「猫カフェ」と同じ形式で来場者を受け入れているが、そこにいる猫は大半里親になってくれる人を探している。ワクチン接種や定期的な健康診断などの啓蒙(けいもう)・啓発、完全室内飼いの普及活動、飼い主の病気・引っ越し死亡などの事情によって猫を捨てることがないよう保護猫のためのセーフティーネットを目指し、譲渡や・保護、避妊・去勢手術についての啓蒙・啓発を行う。募金活動も行っており、保護猫カフェでの収入は保護した猫のえさ代や病気・けがの治療費、避妊・去勢手術の費用などに充てられる。国内初の保護猫カフェは、08年に都内でオープンした「NPO法人東京キャットガーディアン」。
保護猫カフェの健全な運営を目指して17年2月22日(猫の日)に、「保護猫カフェ協会」(本部・東京)が設立され、同6月8日に一般社団法人となった。東京キャットガーディアンを創設した山本葉子さんが同協会の代表理事を務めている。同協会への参加店舗数は同年8月17日までに18カ所。主な活動は、保護猫カフェの社会的な認知度を高め、保護猫カフェの現状の調査をすることである。保護猫カフェの安定した運営・活動の継続を目指すための勉強会「猫カフェスクール」も開講している。

(若林朋子 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android