価電子帯(読み)カデンシタイ

デジタル大辞泉 「価電子帯」の意味・読み・例文・類語

かでんし‐たい【価電子帯】

結晶バンド構造における、価電子によって満たされたエネルギー帯絶縁体半導体の場合、禁制帯のエネルギー幅を超えて価電子帯の電子を励起しない限り、電流は流れない。半導体は禁制帯の幅が狭く、通常は絶縁体だが、価電子帯の電子が励起されて伝導帯に移って自由電子になると、導体として振る舞う。充満帯

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「価電子帯」の意味・わかりやすい解説

価電子帯
かでんしたい
valence band

絶縁体や半導体では,絶対零度において電子で完全に満たされた許容帯と,禁制帯をへだてて空の許容帯である伝導帯をもつ構造を示す。この電子で満たされた許容帯を,共有結合性の結晶では価電子帯と呼ぶ。この帯域中の電子が価電子の準位に基づくことによる呼び方である。 (→充満帯 )

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世界大百科事典(旧版)内の価電子帯の言及

【半導体】より

…影の部分が詰まっている)。からっぽのバンドが電気伝導に寄与できないのは当然であるが,みたされたバンド(充満帯,半導体の場合価電子帯とも呼ぶ)も電流を流せない。電流を生ずるためには電場による電子の加速が必要であるが,充満帯の状態は加速のような状態変化の起こりようもない単一の状態,いわばぎっちりと詰まって身動きのできない状態である。…

【バンド構造】より

…一つのエネルギー帯には結晶の単位胞の数Nの2倍の電子が収容されるが,完全に満たされたエネルギー帯(充満帯filled band。価電子帯valence bandともいう)は電流を流すことはできない。したがって,フェルミ準位が禁止帯にあって,充満帯と完全に空のエネルギー帯(伝導帯conduction band。…

※「価電子帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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