余所余所(読み)ヨソヨソ

デジタル大辞泉 「余所余所」の意味・読み・例文・類語

よそ‐よそ【余所余所】

[名・形動ナリ]
互いに離れていること。また、そのさま。別れ別れ。ほかほか。
「頼もしき筋ながらも、―にならひ給へるは」〈若紫
縁や関係がないこと。また、そのさま。
「帝の御むすめをもち奉り給へる人なれど、―にて悪しくも良くもあらむは」〈浮舟
所在をほのめかしていう語。そこらあたり。
「そのかねで―のお山が一つ買うてみたいと」〈浄・重井筒
便所をいう女房詞

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「余所余所」の意味・読み・例文・類語

よそ‐よそ【余所余所】

〘名〙
① (形動) 互いに離れて別の場所にいること。別れ別れになっているさま。ほかほか。
源氏(1001‐14頃)若紫「たのもしきすぢながらも、よそよそにてならひ給へるは、おなじうこそうとうおぼえたまはめ」
② (形動) 縁故や関係のないこと。また、そのさま。
※源氏(1001‐14頃)浮舟「みかどの御むすめをもちたてまつり給へる人なれど、よそよそにてあしくもよくもあらんはいかがはせんと」
③ (形動)(━する) 隔てがましくすること。親しみをもたないさま。よそよそしいさま。
※馬内侍集(11C前)「いみじき事ありともよそよそにならじと契りける人」
④ 漠然とどこかの場所をさしていう語。あっちの方。そこらあたり。
浄瑠璃心中重井筒(1707)上「銀貰ふてからその銀で、よそよそのお山がひとつ、買ふて見たいと」
⑤ 便所をいう、女房詞。宮廷でも臣下のことばとして用いられたという。

よそよそ‐し・い【余所余所】

〘形口〙 よそよそし 〘形シク〙
① 関係がない。無関係である。
狭衣物語(1069‐77頃か)三「あなうたて、いとよそよそしきことをもしらせ給にけるかな」
② 隔てがましい。親しみをもたない。他人行儀である。うとうとしい。
※狭衣物語(1069‐77頃か)二「時々などまゐりて、よそよそしからんもてなしに、いかでかは限りあらん命もながらへやるべからんと」
よそよそし‐げ
〘形動〙
よそよそし‐さ
〘名〙

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