普及版 字通 「余(漢字)」の読み・字形・画数・意味
余
常用漢字 7画
(旧字)餘
16画
[字訓] あまり・あまる・ゆたか・ひま
[説文解字]
[字形] 形声
旧字は餘に作り、余(よ)声。〔説文〕五下に「饒(おほ)きなり」とあり、前条に「饒(ぜう)はくなり」とあって、食余をいう。すべて残余・余意の存する状態をいう。一人称の余とは別の字であるが、いま余の字を餘の常用漢字として用いる。
[訓義]
1. あまり、あまる、のこり。
2. ゆたか、おおい。
3. ひま、ひさしい。
4. あと、のち、あげく、そのほか。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕餘 アマル・アマリ・アマス・アマレリ・ノコル・ノコス・ミナ・ホカ・ユタカナリ
[語系]
餘jiaはjiengと声義近く、餘(よえい)と連用することがある。羨zianにまたjianの声があり、羨余の義とする。jiaは餘と同声、zjiaも、肥大するものの意であろう。
[熟語]
余哀▶・余威▶・余意▶・余音▶・余韻▶・余▶・余栄▶・余裔▶・余▶・余炎▶・余怨▶・余衍▶・余煙▶・余霞▶・余華▶・余暇▶・余課▶・余花▶・余悔▶・余寒▶・余閑▶・余間▶・余▶・余歓▶・余暉▶・余基▶・余喜▶・余棄▶・余輝▶・余▶・余泣▶・余興▶・余響▶・余業▶・余煦▶・余薫▶・余▶・余慶▶・余景▶・余馨▶・余隙▶・余月▶・余▶・余▶・余絢▶・余言▶・余絃▶・余功▶・余巧▶・余行▶・余光▶・余恨▶・余債▶・余罪▶・余財▶・余師▶・余子▶・余址▶・余祉▶・余思▶・余貲▶・余滓▶・余資▶・余積▶・余事▶・余日▶・余須▶・余臭▶・余習▶・余衆▶・余春▶・余▶・余胥▶・余暑▶・余緒▶・余▶・余▶・余照▶・余剰▶・余饒▶・余津▶・余親▶・余人▶・余塵▶・余燼▶・余数▶・余生▶・余清▶・余勢▶・余責▶・余跡▶・余銭▶・余喘▶・余胙▶・余祚▶・余賊▶・余粟▶・余唾▶・余帯▶・余沢▶・余談▶・余地▶・余痴▶・余蓄▶・余丁▶・余▶・余滴▶・余怒▶・余党▶・余盗▶・余徳▶・余肉▶・余熱▶・余年▶・余念▶・余波▶・余派▶・余憊▶・余白▶・余飯▶・余夫▶・余風▶・余福▶・余物▶・余憤▶・余分▶・余兵▶・余弊▶・余芳▶・余謀▶・余民▶・余務▶・余命▶・余名▶・余明▶・余勇▶・余裕▶・余流▶・余糧▶・余力▶・余類▶・余齢▶・余零▶・余瀝▶・余烈▶・余禄▶・余論▶
[下接語]
遺余・雨余・紆余・盈余・暇余・閑余・窮余・刑余・月余・行余・歳余・三余・残余・詞余・詩余・自余・余・旬余・閏余・胥余・緒余・諸余・丈余・剰余・酔余・睡余・声余・羨余・徳余・夫余・分余・俸余・有余
余
7画
[字訓] われ・あまり
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 仮借
余は把手(とつて)のある細い手術刀。これで膿漿を盤(舟)に除き取るを(よ)といい、兪(ゆ)(・)の初文とみられる。余は〔説文〕二上に「語の舒(ゆる)やかなるなり」とするが、静かに刀を動かすを徐という。卜文に王子中の一人に・余というものがあり、また我というものもあって、余・我はもと身分称号的な語であったらしいが、金文では余は一人称主語に、(朕)は所有格的に用いることが多い。〔左伝、僖九年〕「小白(斉の桓公の名)余」のように、その名にそえて、複称的にいうこともある。余一人・余小子のように用いる。余は手術刀、他は仮借の義である。いま餘の常用漢字として用いる。
[訓義]
1. われ。
2. 餘の略字。常用漢字として用いる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕余 予は古なり。アマレリ・タツ 〔字鏡集〕余 ナムヂ・アレ・ノブ・アマル・アマレリ
[声系]
〔説文〕に余声として・徐・敍(叙)・餘・・・・・斜・除など二十六字を収める。その基本は、除くことによって安徐をえて(よろこ)ぶことである。余は手術刀の形で、治療の方法を示す。その針で膿漿(のうしよう)を去って舟(盤)に移すことをといい、兪の初文。兪に・(癒)の意がある。余は手術刀という字の原義において用いることはなく、形声・会意の字によって、その初形初義を考えることができる。
[語系]
余・予jiaは同声。一人称代名詞に用いる。吾nga、我ngai、ngangも声義近く、一人称の代名詞に用いる。みな仮借の用義。余・我は主格、吾・予は所有格に用いるという傾向がある。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報