何が彼女をさうさせたか(読み)なにがかのじょをそうさせたか

精選版 日本国語大辞典 「何が彼女をさうさせたか」の意味・読み・例文・類語

なにがかのじょをそうさせたか なにがかのヂョをさうさせたか【何が彼女をさうさせたか】

戯曲。六幕。藤森成吉作。昭和二年(一九二七築地小劇場初演。少女すみ子が、暗い家庭環境から養育院に入り、その後様々な苦難を体験し、最後に辿りついた宗教施設でも欺瞞に接し、放火犯となる。社会の不正に抗議した人道的作品

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デジタル大辞泉 「何が彼女をさうさせたか」の意味・読み・例文・類語

なにがかのじょをそうさせたか〔なにがかのヂヨをさうさせたか〕【何が彼女をさうさせたか】

プロレタリア作家、藤森成吉による戯曲。昭和2年(1927)、雑誌改造」に発表。同年4月、築地小劇場にて「彼女」の題名で初演。鈴木重吉監督による映画化作品もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「何が彼女をさうさせたか」の意味・わかりやすい解説

何が彼女をさうさせたか
なにがかのじょをそうさせたか

藤森成吉(せいきち)の戯曲。六幕九場。1927年(昭和2)『改造』連載、同年改造社刊。築地(つきじ)小劇場での初演(1927.4)は『彼女』の題名で、土方与志(ひじかたよし)演出、山本安英(やすえ)主演。新築地劇団の再演原題をうたった。主人公中村すみ子(13~16歳)は、母は男と逐電、父はのたれ死に、叔父には食いものにされるという逆境に育つ。子供役者、養育院、小間使などを転々とし、心中を図るが助けられ、キリスト教婦人収容所に入れられる。神を信じ新しい生活を望むが、偽善、欺瞞(ぎまん)に堪えかね放火してしまう。作者の社会主義的な姿勢が鮮明で、この期のプロレタリア演劇を代表する戯曲の一つ。鈴木重吉(しげよし)監督により映画化(1930)もされ、「……が……を……させたか」という言い回しが流行した。

[祖父江昭二]

『『現代日本戯曲選集8』(1955・白水社)』

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