体位ドレナージ(読み)たいいどれなーじ(英語表記)postural drainage

日本大百科全書(ニッポニカ) 「体位ドレナージ」の意味・わかりやすい解説

体位ドレナージ
たいいどれなーじ
postural drainage

気道内分泌物(喀痰(かくたん))を喀出しやすくするための体位をとって行う分泌物の喀出法である。普通、ベッド上に正座した体位からおじぎをするように頭を下げ、両前腕で上半身を支えながら腰を上げる。あるいはベッド上にうつぶせになった体位から身体を乗り出し、床のほうへ向かって上半身を下げる。要するに、頭を低く、腰を高くする体位をとって咳(せき)をするわけである。こうすると、気道内分泌物は重力の助けによって太い気管支へ流れ出し、喀出が容易となる。この体位をとりながら背部を軽くたたいたり、バイブレーターで刺激するとさらに効果的である。喀痰の多い気管支拡張症や肺化膿(かのう)症の患者に適用される。

[石原恒夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の体位ドレナージの言及

【体位排痰法】より

…痰のたまった気管支が頭部より高い位置になるような体位をとり,重力によって痰の排出を促す呼吸器疾患の治療法。体位ドレナージともいわれ,気管支拡張症や慢性気管支炎など痰の多い病気で行われる。通常,痰は下部背中側の気管支にたまりやすいので,痰の排出にあたっては,腹の下にまくらなどを置いて腹ばいになり,腰が高く頭が低く下がるような姿勢をとることが多いが,病変部位がわかっている場合には,そこが上になるような姿勢をとる。…

※「体位ドレナージ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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