佐賀[県](読み)さが

百科事典マイペディア 「佐賀[県]」の意味・わかりやすい解説

佐賀[県]【さが】

九州地方北西部の県。県庁所在地は佐賀市。2440.68km2。84万9788人(2010)。〔沿革〕 かつての肥前国東半部。松浦地方は《魏志倭人伝》所載の末盧(まつろ)国に比定され,古くから大陸との交流があったとみられ,佐賀平野も大化改新ごろには条里制がしかれていた。江戸時代には佐賀藩鍋島氏35万7000石の所領であった。1871年佐賀,唐津小城蓮池鹿島,厳原(いずはら)の6藩がそれぞれ県となり,合併して伊万里県となったが,翌年佐賀県と改称,1876年長崎県と統合,1883年分離して現県域が確定。〔自然〕 北部は筑紫山地に属する脊振(せふり)山地,天山山地が福岡県境をなし,北西部は玄界灘に面し東松浦半島突出,海上に小島が点在する。中部は筑後川や六角川が形成した佐賀平野が広がり,南は有明海に臨み,湾岸には江戸時代以来の干拓地が展開する。西部は断層谷脊振山地と対する低山地帯,南端は多良火山で,長崎県に接する。温暖で,比較的多雨。有明海岸はやや内陸性気候,玄界灘沿岸は海洋性で冬も暖かい。佐賀平野では年によって夏の雨量の変動が大きく,水害干害も受ける。〔産業〕 産業別人口構成は第1次11.0%,第2次24.8%,第3次63.8%(2005)。第1次産業の比率が高く,農業県としての性格が強い。有明海干拓地を含む佐賀平野には縦横クリークが通じて大水田地帯をなし,第2次大戦前は〈佐賀段階〉の名で米作の範となったが,戦後は米の単作から多角経営に転換,ミカン栽培,乳牛飼育が飛躍的に発展した。県物産の首位を占める米のほか麦,タマネギレンコン,イチゴ,レタス,茶も多産し,南の白石地方で養豚,佐賀市近郊で養鶏も盛んである。水産業では,玄界灘でのイカ,アジ,サバなどの漁獲と,有明海でのノリ・貝養殖,伊万里湾,仮屋湾などでのタイ・ハマチ・真珠養殖が活発である。スッポン養殖も盛んで全国一の生産量がある。鉱業では佐世保・唐津両炭田があるが,1972年にはすべての炭鉱が閉山。工業は農水産加工の食品,電機,金属などが主要であるが,比較的発展が遅れ,工業出荷額でみると,1兆4630億円(2003)は47都道府県中40位にあり,低迷している。近年は高速交通網の整備に伴い,交通要地である鳥栖市を中心に工業化が進められている。特産に伊万里焼がある。観光面では玄海国定公園内に虹ノ松原,七ッ釜などの景勝があり,ツツジの名所基山(きやま),祐徳稲荷神社,温泉の嬉野(うれしの),武雄,古湯がある。〔交通〕 鳥栖で鹿児島本線から分岐し,九州新幹線と接続する新鳥栖を経て佐賀平野を走る長崎本線と,鳥栖〜長崎の国道34号線,長崎自動車道が重要交通路で,他に佐世保線,筑肥線,唐津線,松浦鉄道,国道35号線が各市町を結ぶ。
→関連項目九州地方

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