佐多氏(読み)さたうじ

改訂新版 世界大百科事典 「佐多氏」の意味・わかりやすい解説

佐多氏 (さたうじ)

平安時代以来大隅国禰寝院(ねじめいん)南俣(現在の鹿児島県肝属郡南大隅町,錦江町の旧田代町)を本拠とする豪族。(1)禰寝氏建部姓)の一族。所領佐多の名を負う。始祖頼高は禰寝頼清の弟,その後親清,親高,親綱,親治と相伝。1197年(建久8)の大隅国図田帳に正八幡宮領佐汰(多)10丁の領主としてみえる建部高清は親清と思われる。在庁官人で,翌年の大隅国御家人交名(きようみよう)の国方14名の1人に佐多新大夫高清がある。親綱の弟宗親は庶家をたて西方を分有,その子定親と本名の親治の間で1283年(弘安6)惣庶の争論あり。異国警固番役を別々に勤仕している。しかし南北朝時代以降一族は逐次南俣禰寝氏の支配下に属す。(2)島津氏族。島津氏4代忠宗の3子忠光は父から佐多を分与されたとし,その子忠直が佐多に進出,城を構え佐多氏を称した。忠直のあと氏義,忠豊,頼久,忠遊,忠山と相伝したが,同氏はほかに薩摩国知覧院も領有。9世忠将は島津氏15代貴久の命により佐多を手放した。佐多氏は近世知覧郷の私領主であった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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