住所
じゅうしょ
各人の生活の本拠をいう(民法22条)。法律には、住所を基準として法律関係を決めるものが多い。たとえば、不在および失踪(しっそう)の標準(同法25条、30条)、債務履行地決定の標準(民法484条、商法516条)、相続開始地(民法883条)、手形行為の場所(手形法2条3項など)、裁判管轄の標準(民事訴訟法4条など)、選挙の場所(公職選挙法20条など)などである。住所を設定し、あるいは変更するにあたっては、定住の事実のほかに、定住の意思が必要かどうかが争われている。これを必要とする説を主観説といい、不要とする説を客観説というが、客観説が有力である。また、住所は単一でなければならないか(単一説)、複数あってもよいか(複数説)が問題とされているが、複数説が有力になってきている。なお、公法上の住所(公職選挙法、税法など)はかならずしも私法上の住所と一致する必要はなく、独自に法律の趣旨に従って決められればよい、と解するのが最近の考え方である。なお、居所は人の生活の本拠ではないが、ある程度の期間継続して居住する場所であり、住所がない場合や、あっても不明な場合には、居所が住所とみなされる(民法23条1項)。日本に住所をもたない者についても同様である(同法23条2項)。
[淡路剛久]
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住所
じゅうしょ
各人の生活の本拠,つまり生活の中心的場所をいう (民法 21) 。住所決定の規準として当事者の定住の事実のほか,定住の意思 (たとえば公署への届け出,表札の掲出,移宅の通知などはこの意思の表明である) を必要とする説 (意思主義) と,定住の事実だけで足りるとする説 (客観主義) とがある。一般に,客観主義が有力である。住所が問題となるのは主として裁判管轄 (訴訟は原則として被告の住所地の裁判所に提起される) についてであるが,その他債務の履行地や相続の開始地などを決めるについても問題となる。なお,住所とはいえないほどの一時的定住の場所を居所といい,住所の知れない者と日本に住所をもたない者とについて,その居所が住所とみなされる (22,23条) 。
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住所【じゅうしょ】
生活の本拠である場所(民法21条)。客観的にみて生活の本拠であれば足りるとする説と,生活の中心としようとする意思をも必要だとする説とが対立する。また住所の個数についても一つだけか,数個認めてよいかについても説が分かれる。法人の場合は,主要な事務所または本店の所在地が住所となる。→居所
→関連項目寄留|属人法主義
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すみ‐どころ【住所】
〘名〙 住むところ。すまい。すみか。居所。すみと。じゅうしょ。
※伊勢物語(10C前)八「あづまの方に行きてすみ所もとむとて」
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デジタル大辞泉
「住所」の意味・読み・例文・類語
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じゅうしょ【住所】
生活の本拠のこと(民法21条)。私法上では債務の履行場所,裁判管轄の基準となるとともに,公法上の選挙のための選挙人名簿の登録,所得税等の税金の納税地の基準ともなる。人は生活して行くうえで一定の場所と密接なつながりを持っている。一定の住宅に居住し,そこで日常生活を営み,また,仕事をしたり,仕事に出かけたりする。そのような場所が生活の本拠たる住所である。あらたに市町村区域内に住所を定めたとき,または同一市町村区域内で住所を変更したときには,14日以内にそのことを市町村長に届け出て,住民票を作成し,または住民票の住所の変更を届け出なければならない。
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普及版 字通
「住所」の読み・字形・画数・意味
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