低用量経口避妊剤(低用量ピル)(読み)テイヨウリョウケイコウヒニンザイテイヨウリョウピル

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 の解説

低用量経口避妊剤(低用量ピル)

製品名
《エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合剤》
シンフェーズT28(科研製薬)
《エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤》
アンジュ21(あすか製薬武田薬品工業
アンジュ28(あすか製薬、武田薬品工業)
トリキュラー21(バイエル薬品
トリキュラー28(バイエル薬品)
ラベルフィーユ21(富士製薬工業)
ラベルフィーユ28(富士製薬工業)
《デソゲストレル・エチニルエストラジオール配合剤》
ファボワール21(富士製薬工業)
ファボワール28(富士製薬工業)
マーベロン21(MSD
マーベロン28(MSD)

 卵胞発育を抑え、排卵卵巣からのホルモン分泌も抑制されて避妊効果を発揮する薬です。


 これらの薬には、黄体ホルモンと卵胞ホルモンから成る、強力な作用をもつ合成品の誘導体が用いられています。そのため、従来の経口避妊剤に比べて、女性ホルモンのエストロゲンの含有量が少なく、副作用はきわめて少なく、確実な効果のある薬です。


 医師の処方が必要なのですが、医療保険は適用されず、治療費は患者の全額自己負担になります。


①過敏症状(発疹ほっしん発熱など)や血栓症をおこすことがあります。さらにエチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤エチニルエストラジオール・ノルエチステロン配合剤ではアナフィラキシーをおこすことがあります。このような症状が現れたときは、使用を中止し、ただちに医師に相談してください。


②狭心症、心不全、不正性器出血月経異常、乳房痛、吐き気嘔吐おうと頭痛、ときに、血圧上昇、動悸どうきめまい、ねむけ、にきび倦怠感けんたいかん、体重増加、視力障害、浮腫などがおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


錠剤で、1日1錠を毎日一定の時刻に服用します。また、経口避妊剤を初めて使用する場合には、月経第1日目から開始します。服用開始が月経第1日目から遅れた場合、飲み始めの最初の1週間はほかの避妊法も併用してください。


②この薬に対して過敏症状をおこしたことのある人、エストロゲン依存性悪性腫瘍しゅよう、診断の確定していない異常性器出血、血栓性けっせんせい静脈炎・脳血管障害・冠動脈疾患肺塞栓はいそくせん症の人や既往歴のある人、血栓性素因のある人、抗リン脂質抗体症候群、重い肝障害、肝ガン、脂質代謝異常、高血圧症、耳硬化症、妊娠中の黄疸おうだん、持続性瘙痒症そうようしょうまたは妊娠ヘルペスにかかったことのある人、前兆を伴う片頭痛、肺高血圧症または心房細動を合併する心臓弁膜症、亜急性細菌性心内膜炎の既往歴がある心臓弁膜症の人、血管病変を伴う糖尿病のある人、オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤を服用中の人は使用できないので、医師に相談してください。


 また、35歳以上で1日15本以上の喫煙者、手術前4週間以内・手術後2週間以内の人、出産後4週間以内の人、妊婦、母乳で授乳中の人、骨成長が終了していない可能性のある人、長期間安静状態の人も使用できないので、医師に相談してください。


③乳ガンの既往歴がある人、子宮筋腫のある人、家族が血栓症や乳ガンの既往歴がある人、乳房の結節けっせつ、軽度の高血圧症、耐糖能の低下、ポルフィリン症、肝障害、心疾患・腎疾患の人やその既往歴のある人、てんかん、テタニーのある人、40歳以上の人、肥満の人は、医師と相談のうえで使用してください。


④この薬を使用中にほかの薬を使用する必要が生じたときは、必ず医師に相談してください。とくに副腎皮質ホルモン剤三環系抗うつ剤バルビツール酸系催眠鎮静剤テトラサイクリン系抗生物質広域用ペニシリン剤、ゴナドトロピン放出ホルモン、血糖降下剤HIV感染症治療剤C型肝炎ウイルス治療剤などや、セイヨウオトギリソウ含有健康食品との併用には注意してください。


⑤2日以上連続して飲み忘れたときは使用を止めて、医師に相談してください。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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