位山(読み)クライヤマ

デジタル大辞泉 「位山」の意味・読み・例文・類語

くらい‐やま【位山】[地名]

岐阜県北部、飛騨地方の山。標高1529メートル。イチイ原生林があり、名は、古代にこの木をしゃくの材とし朝廷に献じたさい、位を賜って一位の木と称したことに由来

くらい‐やま〔くらゐ‐〕【位山】

位が上がっていくのを、山を登るのにたとえた語。位の山。
八十坂やそざかを越えよと切れる杖なればつきてをのぼれ―にも」〈落窪・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「位山」の意味・読み・例文・類語

くらい‐やま くらゐ‥【位山】

[1] 〘名〙 位の昇進を山を登るのにたとえた語。位の山。
※落窪(10C後)三「八十坂を越えよと切れる杖なればつきてをのぼれくらゐ山にも」
[2] 岐阜県中北部、飛騨山地のほぼ中央にある山。日本海、太平洋両斜面の分水界をなし、イチイの原生林で知られる。標高一五二九メートル。

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日本歴史地名大系 「位山」の解説

位山
くらいやま

飛騨高原のほぼ中央、宮村と益田ました萩原はぎわら町にまたがる山で、標高一五二九・二メートル。太平洋側と日本海側を分ける分水界山地を形成する。位山分水嶺山脈は長野県境の乗鞍のりくら(三〇二六・三メートル)飛騨山脈より分れ、西進して丹生川にゆうかわ村と朝日あさひ村境の丸黒まるくろ(一九五六・三メートル)日影平ひかげだいら(一五九五・三メートル)高山市と朝日村にまたがる牛首うしくび(一四〇八メートル)六方ろつぽう(一四〇三メートル)と続き、同市と久々野くぐの町間の美女びじよ峠を経て宮村に入り、宮峠(標高七七六・六メートル)刈安かりやす(標高八五〇メートル)より主峰位山、さらに南西に延びて川上かおれ(一六二五・九メートル)に至る。位山船山くらいやまふなやま県立自然公園の一部で、位山の南東にある萩原町の位山峠(標高一〇九五メートル)を北に下ると無数河むすご川沿いにミズバショウ群落があり、生息地としては南限に近い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「位山」の意味・わかりやすい解説

位山
くらいやま

岐阜県の飛騨(ひだ)地方を太平洋斜面と日本海斜面に分かって、東西に連なる分水界のほぼ中央部にそびえる山。標高1529メートル。山の南東麓(なんとうろく)に、下呂(げろ)市萩原(はぎわら)町山之口(やまのくち)から高山市一之宮(いちのみや)町を経て高山市街地へ通ずる位山峠がある。山にはイチイの原生林があり、かつては宮廷人の笏(しゃく)の材料として京都へ送られたという。位山から東方の舟山一帯は位山舟山県立自然公園で、北アルプス等の眺めのよい所である。北東斜面にスキー場がある。

[上島正徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「位山」の意味・わかりやすい解説

位山
くらいやま

岐阜県北部,飛騨山地のほぼ中央にある山。高山市下呂市の境にある。標高 1529m。鎌倉時代には京都から高山に入る交通路として位山の南東麓の位山峠を通った。古来より名山と詠まれた。分水界,および太平洋岸と日本海岸の気候区の境界をなす。イチイ (県の木) の原生林があり,頂上から北アルプスの眺望もよく,位山舟山県立自然公園に属する。

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