佃送り(読み)つくだおくり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「佃送り」の意味・わかりやすい解説

佃送り
つくだおくり

江戸・石川島の「人足寄場(よせば)」へ、軽罪者で受刑後再犯のおそれのある者、無宿者などを収容したこと。石川島は佃島に隣接するために混同され「佃送り」と誤伝された。1790年(寛政2)、幕府火付盗賊改(ひつけとうぞくあらため)長谷川(はせがわ)平蔵建議により、老中松平定信(さだのぶ)の命で免囚保護の目的で建設。当初は長谷川自身が寄場取扱になり、以後寄場奉行(ぶぎょう)が管理した。人足には大工建具指物(さしもの)、塗師(ぬし)などの手職を営ませ、職のない者は米搗(つ)き、油絞り、土木工事に従わせた。労賃の3分の1は預かっておき、三年ぐらい辛抱して改悛(かいしゅん)の情ある者を出所させ正業につかせるときの基金とした。収容人員は初め130人ほどであったが、1844年(弘化1)には600余人を数えた。

稲垣史生

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