似非・似而非(読み)えせ

精選版 日本国語大辞典 「似非・似而非」の意味・読み・例文・類語

えせ【似非・似而非】

[1] 〘語素〙
① 見かけはそれらしく見えるが、実はそうではないことを表わす。にせの。まやかし。「えせもの(似非者)」「えせもの(似非物)」など。
② 備えているはずの、また備えていなければならない要素、性質、才能技量などが欠けている、あるいは劣っていることを表わす。本当のものらしくない。つまらない。とるにたりない。「えせうし(似非牛)」「えせき(似非木)」「えせざむらい(似非侍)」など。
③ 並大抵ではない、一筋縄ではいかないの意を表わす。したたかな。「えせびと(似非人)」「えせもの(似非者)」など。
④ (本当でない、まやかしの、などの意をこめて) 非難、ののしり、あなどりなどの気持を表わす。「えせわらい(似非笑)」など。
[2] 〘名〙 (形動)
① 見かけはそれらしく見えるが、実はそうではないこと。また、そのようなもの。にせ。
※鉄幹子(1901)〈与謝野鉄幹〉落花吹面「似非(エセ)と野暮(こけ)とは我らが禁句
② 備えているはずの、また、備えていなければならない性質、才能、技量などが欠けている、あるいは劣っていること。また、そのようなもの。とるにたりないこと。ばかなこと。また、そのようなもの。→えせたり
※枕(10C終)三〇七「右衛門の尉なりける者の、えせなる男親を持たりて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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