伴大納言絵巻(読み)ばんだいなごんえまき

百科事典マイペディア 「伴大納言絵巻」の意味・わかりやすい解説

伴大納言絵巻【ばんだいなごんえまき】

平安末期の説話絵巻。3巻。紙本着色。応天門の変にからむ大納言伴善男(とものよしお)の策謀失脚を描く。作者常磐(ときわ)光長と推定される。柔軟で細かな筆で,全体構図を考えながら人物の動きを生き生きと描き,華麗で劇的な画面展開彩色も効果的に計算されている。有職故実に忠実で,風俗資料としても貴重。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「伴大納言絵巻」の解説

伴大納言絵巻
ばんだいなごんえまき

平安後期の絵巻。866年(貞観8)3月におきた応天門の火災をめぐる大納言伴善男(とものよしお)の陰謀と失脚を描く。上中下巻にわかれているが,もとは1巻の長大な絵巻であった。柔らかく的確な描線で人物の姿態や表情を描くとともに,群衆の動きを巧みにとらえる。洗練された技法宮廷の絵所様式を伝え,すぐれた構成力と群衆描写が「年中行事絵巻」(模本)と共通するところから,常磐(ときわ)光長の作と推定される。中世より若狭国新八幡宮に伝わり,小浜藩主酒井家をへて,現在,出光美術館蔵。紙本着色。縦31.5cmで,横は839.5cm(上巻),858.7cm(中巻),931.7cm(下巻)。国宝

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伴大納言絵巻」の意味・わかりやすい解説

伴大納言絵巻
ばんだいなごんえまき

貞観8 (866) 年,大納言伴善男 (とものよしお) が政敵の左大臣源信 (まこと) を陥れようと応天門に放火し,事の真相が露呈して伊豆に配流された事件を絵巻としたもの。後白河院の宮廷で活躍した絵師常磐光長によって,嘉応2 (1170) 年前後に描かれたと推定される。紙本着色,3巻。国宝。出光美術館蔵。人物の姿態,表情を自在に描き分ける柔軟な線描,こまやかな色感,バランスのとれた画面構成が特色。風俗,群衆描写も的確で,高度な伝統に立つ宮廷画家の洗練された技法をうかがわせる。詞書は藤原教長筆との説がある。

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旺文社日本史事典 三訂版 「伴大納言絵巻」の解説

伴大納言絵巻
ばんだいなごんえまき

平安末期の絵巻物
国宝。12世紀後半の成立。3巻。土佐光長筆といわれる。866年大納言伴善男 (とものよしお) が応天門に放火し,これを左大臣源信 (まこと) のしわざと告発したが,真相が露見して流罪に処せられたという応天門の変を描いた。物語の展開も描写もすぐれている。

伴大納言絵巻
とものだいなごんえまき

ばんだいなごんえまき

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デジタル大辞泉プラス 「伴大納言絵巻」の解説

伴大納言絵巻

平安時代末期の絵巻(1170頃)。『伴大納言絵詞』とも呼ばれる。「応天門の変」を題材として描かれたもので、作者は常盤光長とされる。国宝。東京、出光美術館所蔵。

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