伯（読み）はく

精選版 日本国語大辞典

はく【伯】

[1] 〘名〙

① 令制で、神祇官の長官。平安末期以来、花山源氏の白川家が世襲した。〔二十巻本和名抄（934頃）〕

② おさ。かしら。首長。

③ 兄弟中の年長者。あに。このかみ。

※今鏡（1170）七「顕仲のはくの娘のおほせし歌」 〔詩経‐小雅・何人斯〕

④ 父の兄。また、父母の兄。伯父。おじ。

⑤ 旧華族制度で、五等爵の第三位。伯爵。ヨーロッパの貴族の階級についても用いる。

※英国議事院談（1869）〈福沢諭吉訳〉一「世事に関係する貴族を五等に別ち、公、侯、伯、子、男と云ふ」 〔礼記‐王制〕

⑥ 「ブラジル」のあて字「伯剌西爾」の略。

[2] 「ほうき（伯耆）」の略。

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

はく【伯】［漢字項目］

［常用漢字］　［音］ハク（漢）　［訓］かみ
１ 頭に立つ者。諸侯の長。「侯伯・方伯」
２ 神。「河伯・風伯」
３ 兄弟の序列で、最年長者。「伯兄・伯仲」
４ 父・母の年上のきょうだい。「伯父はくふ・伯母はくぼ」
５ 一芸に秀でた者の敬称。「画伯・詩伯」
６ 伯耆ほうき国。「伯州・伯備」
７ ブラジル。「日伯」
［名のり］お・おさ・たか・たけ・とも・のり・はか・みち
［難読］伯父おじ・伯母おば・伯楽ばくろう・伯剌西爾ブラジル・伯林ベルリン

はく【伯】

１ 旧華族制度で、五等爵の第三位。伯爵。
２ 律令制で、神祇官の長官。

出典　小学館

旺文社世界史事典 三訂版

伯
はく
earl (イギリス)
Graf (ドイツ)
comte (フランス)

ヨーロッパにおける封建貴族の階層を示す称号の１つ
初めは官職として領主的支配権を伴っていたが，絶対王政の発展とともに貴族の単なる称号となった。フランク王国時代には王に任命された最高位の地方官の称号であったが，封建盛期のフランスでは高級貴族の１つを意味し，ドイツでは高級貴族の臣下である小貴族のことをいうようになった。

出典　旺文社世界史事典 三訂版

山川 日本史小辞典 改訂新版

伯
はく

⇒神祇伯(じんぎはく)

出典　山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

伯
はく

「グラーフ」のページをご覧ください。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典