伊豆沼(読み)いずぬま

精選版 日本国語大辞典 「伊豆沼」の意味・読み・例文・類語

いず‐ぬま いづ‥【伊豆沼】

宮城県の北部にある沼。迫(はさま)川の遊水池的性格をもち、長沼、内沼とともに低湿地帯をつくる。ハクチョウガン・カモなどの飛来する国指定天然記念物ラムサール条約登録湿地。

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デジタル大辞泉 「伊豆沼」の意味・読み・例文・類語

いず‐ぬま〔イヅ‐〕【伊豆沼】

宮城県北部にある沼。面積3.2平方キロメートル、最大深度1.4メートルの低湿地湖沼。水田と丘陵に囲まれており、毎年マガンオオハクチョウコハクチョウなどが飛来する。「伊豆沼・内沼の鳥類およびその生息地」として、国の天然記念物に指定されている。昭和60年(1985)ラムサール条約に登録された。

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日本歴史地名大系 「伊豆沼」の解説

伊豆沼
いずぬま

迫町と栗原郡若柳わかやなぎ町にまたがり、南西にあるうち沼とともに、鳥類およびその生息地として国指定の天然記念物。用水源として利用された南東にあるなが沼に対し、水深の浅い伊豆沼は迫川の遊水池として利用された。周囲約二九キロ、面積約九四〇ヘクタールの県下最大の湖。現在はハクチョウの湖として知られる。「新田村安永風土記」によれば、周囲六里余、大部分新田につた村に属し、一部畑岡はたおか(現若柳町)萩沢はぎさわ村・留場とめば(現栗原郡築館町)の入会となっており、片瀬片川水底は新田村邑主大町氏の定請で、この沼に課せられていた課役は大町氏に一種の特権として与えられていた。

伊豆沼周辺はしばしば新田開発が計画された。伊豆沼より北へ丘陵を越えた地域は、正保三年(一六四六)伊豆野いずの堰の完成によって開発が進み、伊豆沼・長沼周辺の広大な湿地帯の開発は、三方島さんぼうじま土手の完成と荒川あらかわ新堀による伊豆沼の水位低下によってもたらされた。

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百科事典マイペディア 「伊豆沼」の意味・わかりやすい解説

伊豆沼【いずぬま】

宮城県栗原市登米市にまたがる沼。南西に隣接する内沼とともに,北東を流れる迫川堆積物による自然堤防で流入河川がせき止められたもので,面積は伊豆沼が3.31km2,内沼が1.05km2。北部と西南部の一部が干拓により狭まったが,残された水域は水生植物が豊富で,冬季も結氷しないことから非常に多くのマガンオオハクチョウコハクチョウが越冬する。内沼とともに1985年9月,ラムサール条約登録湿地となる。沼の南西を東北本線がかすめており,車窓からも沼を望むことができる。東北本線の新田駅から徒歩。
→関連項目蕪栗沼栗原[市]登米[市]ラムサール条約

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改訂新版 世界大百科事典 「伊豆沼」の意味・わかりやすい解説

伊豆沼 (いずぬま)

宮城県北部,栗原市と登米市に面する湖。これに接続する内沼を含め,面積約4.5km2,周辺約16km,水深1.3mの浅い湖で,西の築館台地末端の谷の排水が迫川の自然堤防によって妨げられてできたものである。湖岸の干拓は明治年間より計画され,近年は1953年に県によって造成された。内沼とともに白鳥,ガン,カモなど鳥類の飛来・生息地として天然記念物に指定され,学術的にも価値が高い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伊豆沼」の意味・わかりやすい解説

伊豆沼
いずぬま

宮城県北部,仙北平野の北部にある湖。栗原市登米市にまたがる。面積 2.88km2。水深 1.3m。干拓前は3倍の広さがあった。築館台地の浸食谷の出口が,迫川の自然堤防でせき止められてできたもので,かつては遊水池であった。ハクチョウやガンカモ類の渡来地として有名で,南西の内沼とともに 1967年国の天然記念物に指定。 1985年ラムサール条約に登録された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊豆沼」の意味・わかりやすい解説

伊豆沼
いずぬま

宮城県北部、栗原市(くりはらし)と登米市(とめし)の境界にある沼。築館(つきだて)台地末端の谷からの水が迫川(はさまがわ)の自然堤防に妨げられてできたもの。水深は1.3メートルと浅く、藩政時代より干拓が試みられたが農民の反対により挫折(ざせつ)し、本格化したのは第二次世界大戦後である。干拓総面積約4.4平方キロメートル。残存湖沼面積は4.5平方キロメートルで、西方の内沼とともにハクチョウ、ガン、カモなどの飛来地として国の天然記念物に指定されている。なお、1985年(昭和60)には、内沼とともに日本で2番目にラムサール条約登録湿地となった。

[青柳光太郎]


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