日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
伊藤次郎左衛門(いとうじろざえもん)
いとうじろざえもん
(1878―1940)
中京財閥の重鎮。代々の家業は呉服太物(ふともの)商で、尾張(おわり)藩御用商人筆頭、御三家の一つ。伊藤家中興の祖といわれる祐昌の四男として名古屋に生まれる。幼名を守松、諱(いみな)を祐民と称した。明倫小学校高等科卒業。1909年(明治42)アメリカ西部聯合(れんごう)商業会議所の招きで渡米し、百貨店事業について研究を積む。帰国後すぐ、父に勧めて名古屋本店の営業形態をデパート業(現松坂屋)に改めるなど、業務刷新に才腕を振るった。24年(大正13)家督を相続。33年(昭和8)自ら設けた定年制に従って松坂屋社長を辞任した。伊藤財閥系企業の役員、名古屋商業会議所会頭、内閣経済審議会委員その他の公職を務めた。
[西村はつ]
『松坂屋伊藤祐民伝刊行会編『伊藤祐民伝』(1952)』