伊奈郡・伊奈郷(読み)いなぐん・いなごう

日本歴史地名大系 「伊奈郡・伊奈郷」の解説

伊奈郡・伊奈郷
いなぐん・いなごう

伊奈郡は南北朝期より江戸時代中期にかけてみえる郡で、対馬八郡の一つ。「和名抄」にみえる上県かみあがた郡伊奈郷の郷名を継承する。郡域は東西にわたり、与良よら郡に次ぐ広さをもち、現上県町南部・上対馬町南部にわたる。江戸時代中期以降は対馬八郷の一つとして伊奈郷と改める。

〔伊奈郡〕

貞和四年(一三四八)「いなのくんし」や峰郡司らは、けち(現美津島町)大掾から近年「すいしうやくのようとう」が無沙汰であるとして訴えられ、本年は納入するよう命じられている(同年一〇月八日「宗妙意書下写」宗家判物写)。同五年「いなのこほり」とみえ、仁田にた(現上県町)の地が宛行われている(同年二月二七日「宗宗香書状」伊奈郡判物写)。正平九年(一三五四)「いなのこほり」の半役が給分として「とう十郎入道」に宛行われている(同年二月一日「宗経茂書下」洲河家文書)。応永六年(一三九九)「ゐな郡さいちやう地」の二反(五〇〇文)や仁田の田地分一貫五〇〇文などが小宮六郎に給分として宛行われた(同年一二月八日「宗貞茂宛行状」馬廻判物帳)。この在庁地は国衙在庁(阿比留氏)にかかわる地と考えられ、同一〇年同所の「おのき」(ほのき)・「かわゝた」(河百田)の田地一五〇分(「大くろ一斗まき」)の地が一月七日の「御ほうしんの御かくら」(護法神の神楽)のために寄進されている(同年一二月二五日「万福一猷寄進状」伊奈郷宗家判物写)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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