伊具郡(読み)いぐぐん

日本歴史地名大系 「伊具郡」の解説

伊具郡
いぐぐん

面積:二七四・一八平方キロ
丸森まるもり

県最南端に位置し、東は南端の天明てんみよう(四八七・九メートル)を頂点として、鹿狼かろう(四三〇・一メートル)五社壇ごしやだん(三六八メートル)地蔵森じぞうもり(三四八メートル)などの山々で亘理わたり山元やまもと町および福島県相馬そうま市・相馬郡新地しんち町と境する。西は白石しろいし市および福島県伊達だて梁川やながわ町・霊山りようぜん町と、南は相馬市、北は旧郡域の角田かくだ市と境している。南西は福島県域の霊山(八〇四・七メートル)から峰続きに古霊山こりようぜん(七八二・五メートル)まどくら(六七三・八メートル)分水嶺をなす。郡域の大部分阿武隈高地が連なり、傑出して高い山はなく、窓ノ倉山・手倉てぐら(六七二・一メートル)次郎太郎じろたろ(五二九メートル)堂平どうへい(五一五・七メートル)などのほか三〇〇―四〇〇メートル程度の山が多い。信達しんたつ地方(福島市・伊達郡)から北東流する阿武隈川は、西部県境の猿跳さるぱね付近で阿武隈高地を横切るため川幅が極端に狭まり、またとくに丸森橋下流では土砂の堆積により河床が高くなっているため、降雨期になると氾濫し、支流うち川・雉子尾きじお川に逆流することも珍しくない。同川は右二支流との合流域で北上し、その一帯に平坦地を形成するが、中世期より右岸を東根ひがしね、左岸を西根にしねと称した。近世期に入りその呼称はより定着し、伊具郡東根一三ヵ村、同西根二三ヵ村があった。うち現郡域に属するのは東根六村と西根七村。全面積の約一二パーセントが耕地で、林野地が約七〇パーセントを占める典型的な農山村。冬期の積雪量が平坦地で三〇センチ、山間部で七〇センチほどで、通行が途絶することはまれであり、県内では比較的温暖なほうである。一一月より春先にかけて北西の季節風が強い。

角田市を含む当郡の阿武隈川東岸の村々から亘理郡への通路は、すべて阿武隈高地北端の亘理越の峠道である。両郡を画する同高地の山筋は、南端の鹿狼山を最高点にしだいに低くなり、ことに地蔵森以北からは二〇〇メートル台のなだらかな山稜が続き、阿武隈川に臨む。その最北端、河岸近い七峰ななうね山は標高一二四メートル。山稜の幅は五キロ前後で、しかも越えやすい鞍部があるため、古くから幾通りもの峠越えの道筋が通り、またそれぞれ時代ごとに隆替を重ねてきた。以下北の方から各峠をみるが、亘理越の峠の南には当郡より宇多うだ(現新地町・相馬市)に通じる福田ふくだ峠・旗巻はたまき峠などがある。箕輪みのわ峠は標高九〇メートルで、角田市小坂おさか方面より亘理郡亘理町逢隈鹿島おうくまかしまへ通じる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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