伊丹酒(読み)いたみざけ

精選版 日本国語大辞典 「伊丹酒」の意味・読み・例文・類語

いたみ‐ざけ【伊丹酒】

〘名〙 摂津国河辺郡伊丹(兵庫県伊丹市)で醸造する酒。すでに慶長年間(一五九六‐一六一五)には江戸に積み出され、丹醸の美酒として池田酒とともに賞味された。いたみもろはく。
御伽草子隠れ里(室町時代物語集所収)(江戸初)「ならもろはく、いたみさけ、あさぢしゃうちう、にんだうしゅ」

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デジタル大辞泉 「伊丹酒」の意味・読み・例文・類語

いたみ‐ざけ【×丹酒】

伊丹地方で産する酒。江戸時代から最上酒とされた。伊丹諸白いたみもろはく

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飲み物がわかる辞典 「伊丹酒」の解説

いたみざけ【伊丹酒】


兵庫県伊丹市周辺でつくられる日本酒。江戸初期に摂津国鴻池村(現兵庫県伊丹市鴻池)の山中新六幸元が灰を用いて清澄する工夫を取り入れて諸白製法を確立し、上方から江戸に荷を送り出す「江戸積み」を清酒で初めて成功させたと伝えられる。伊丹酒はこれにより、江戸中期にかけて代表的な上級酒として名をはせた。◇「伊丹諸白」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の伊丹酒の言及

【清酒】より

…寛永年間(1624‐44)池田の満願寺屋は江戸への酒の輸送を馬より船に改善した。しかし18世紀に入り,近衛家御用酒の特権を背景とした摂津伊丹(いたみ)酒が生産高で池田酒を抜いた。伊丹では冬期のいわゆる寒(かん)づくりにより量産化がはかられた。…

※「伊丹酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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