任(漢字)

普及版 字通 「任(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] ニン・ジン
[字訓] あたる・になう・つとめ・まかす

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は壬(じん)。壬は工具。工形のもので、金文字形は縦の線に中肥のところを加えており、鍛冶(たんや)するときの台の形であろう。〔説文〕八上に「保つなり」とするが、鍛冶に堪える意。また任載の意に用い、〔礼記、王制〕「輕き任は(あは)せ、重き任はつ」は荷物の意、〔詩、大雅、生民〕「是れを任(にな)ひ是れをふ」は負担・負任の意。そのことに堪える意より、任務・責任の意となり、人に任せることを委任という。

[訓義]
1. あたる、たえる、よくする。
2. になう、もつ、いだく、おう、のせる。
3. にもつ、はこぶもの。
4. つとめ、しごと、任務、責任。
5. まかす、まかされる、任気、ほしいまま。
6. 妊と通じ、はらむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕任 タフ・タヘタリ・オホキナリ・マカス・ママ・ホシイママ・タモツ・ハラム・アタル・タツ・ヒテ・オフ・アサ・モチヒテ・イダク・アツ

[声系]
〔説文〕に任声として・賃・恁・凭など六字を収める。ものを負戴するほか、任大・柔弱などの意がある。

[語系]
任・妊njim、(忍)njinは声近く、耐・能nもまた声義に通ずるところがある。任に懐抱の意があり、妊は懐胎することをいう。任声の字のnjimは戎と通ずることがあり、叔をまた戎叔といい、胡豆をいう。戎・胡にも大の意がある。

[熟語]
任教・任他・任意・任委・任運任憶任官・任幹・任気・任寄・任器任挙・任・任賢・任子・任使・任事・任実・任所・任従・任縦・任情・任職・任心・任身・任信・任真任娠・任人・任性・任勢・任制・任政・任達任地・任智・任聴・任天・任能任憑・任負・任保・任放・任務任免・任養
[下接語]
委任・一任・解任・外任・帰任・肩任・兼任・後任自任・辞任・主任・就任・重任叙任・昇任・常任信任新任・責任・専任・選任前任・大任・退任・代任・担任・停任・適任・転任背任・負任・赴任・復任・保任・補任・放任・礼任・歴任

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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