仮想変位(読み)かそうへんい(英語表記)virtual displacement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仮想変位」の意味・わかりやすい解説

仮想変位
かそうへんい
virtual displacement

力学において,質点に拘束条件を満たす仮想的な微小変位を与えるとき,これを仮想変位という。拘束条件を満たす変位とは,たとえば単振り子の質点は円周に沿って動くように拘束されているから,円周に沿った変位は許されるが,円周からはみ出す変位は許されないことを意味する。また仮想的な変位とは,運動方程式に従って行われる変位でなくてもよいが,実際に可能な変位で,しかも変位させるのに必要な時間や力は考えなくてよい変位のことである。したがって,仮想変位をさせるときには,力学系にもともと働いていた力は変らないとみなす。

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世界大百科事典(旧版)内の仮想変位の言及

【仮想変位の原理】より

…番号iで指定される質点の系に対し,それらが互いに力を及ぼしつつ外力の影響下にあるとき,各質点iに働く力をFi,その力のもとで可能な各質点の変位をδxiとすると,これらの力が質点系になす仕事の総和δWがつねに0となる,すなわち,の条件に合致する各質点の位置xiがこの質点系の平衡位置である。ここで各質点の変位δxiは運動法則とは無関係に与えられた束縛条件に合致する範囲でまったく任意に取り得るものとしており,これを仮想変位と呼んでいる。またそれに対応して(1)のδWは仮想仕事といい,仮想変位の原理は仮想仕事の原理とも呼ばれる。…

※「仮想変位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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