仮屋(読み)カリヤ

デジタル大辞泉 「仮屋」の意味・読み・例文・類語

かり‐や【仮屋】

仮に作った粗末な小屋仮小屋
祭礼のときの御旅所おたびしょ
昔、出産時に妊婦がこもった家屋産屋うぶや。また、女性が月経時にこもった小屋。他屋たや
[類語]ハット小屋バンガローヒュッテ

か‐おく〔‐ヲク〕【仮屋】

仮ごしらえの家。かりや。

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精選版 日本国語大辞典 「仮屋」の意味・読み・例文・類語

かり‐や【仮屋】

〘名〙
① 仮に作った家。まにあわせの家。借家
延喜式(927)七「凡抜穂者、卜部率国郡司以下及雑色人等〈略〉所卜定斎場院之外、預作仮屋、蹔収御稲
※俳諧・犬子集(1633)一五「かりやをばふきたるまねやいたすらん 鵜の羽の能はいまだ見ざりき〈貞徳〉」
② 祭礼の神輿本社から移し、仮に安置しておく建物。御旅所(おたびしょ)
③ 月経をいう女房詞
女中詞(元祿五年)(1692)「かりや 月水

か‐おく ‥ヲク【仮屋】

〘名〙 仮りの住家。かりや。

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改訂新版 世界大百科事典 「仮屋」の意味・わかりやすい解説

仮屋 (かりや)

一時的使用のために建てた小屋のことであるが,なかには古い思想・信仰面影をとどめたものも多い。臨時の作業や材料保管のために小屋を建てるのはふつうのことであるが,山間地の山仕事・焼畑などのための山小屋・出作り小屋となると数ヵ月にわたる生活の場となる。それらをカリヤと呼ぶ例はまだ聞かないが,女性の出産・月経の忌みを避けるために一時的に別火生活させる〈産小屋(うぶごや)〉〈小屋〉をカリヤと呼ぶ土地はしばしばあった。それをタヤと呼ぶのは〈出作り〉との親近性のためであろう。祭礼に際して,神事を執行するため,または神饌を調製するため,あるいは祭りの舗設のための材料を保管するためなど,カリヤを設ける例は多い。奈良の若宮御祭に際して御旅所の前横にカリヤを建てるのは,神饌の雉子(きじ)などをそろえてつるすためである。古く《延喜式》践祚大嘗祭(せんそだいじようさい)の項には,地方から運んできた抜穂(ぬきほ)を保管すべく斎場院の外側に〈仮屋〉を建てることが規定されていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仮屋」の意味・わかりやすい解説

仮屋
かりや

兵庫県淡路(あわじ)島、淡路市の北東部にあたる旧東浦(ひがしうら)町の中心地区。国道28号が通じる。聖武(しょうむ)天皇が淡路島遊猟の際、この地に仮屋が置かれたという。仮屋漁港ではハモ、エビ類の水揚げが多く、ノリ養殖が盛ん。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仮屋」の意味・わかりやすい解説

仮屋
かりや

兵庫県淡路島北部,淡路市の集落。旧町名。 1956年3町村との合体により淡路町となるが,1961年東浦町として分離。 2005年5町が合体して淡路市となった。地名の由来は,聖武天皇が狩りに訪れたとき仮屋が置かれたことによる。大阪湾に面し,東浦海岸の漁業の中心地。大正期沖合いで試運転中に沈没し,乗組員全員が殉職した第 70号潜水艇の記念碑がある。

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