代行輸送(読み)だいこうゆそう

改訂新版 世界大百科事典 「代行輸送」の意味・わかりやすい解説

代行輸送 (だいこうゆそう)

鉄道運輸事業における特殊な輸送形態の一種で,鉄道が本来行うべき輸送業務を,事故,災害など,あるいは公益上,経済上の理由などから自動車によって行う輸送形態をいう。例えば鉄道の営業線に災害などが発生して輸送が行えない場合に,運賃面の運送条件をそのままに,不通区間を当該鉄道の自動車によって連絡する場合がこれに該当する。これに対して,不通区間について他の輸送機関による輸送手段を講じ,当該輸送機関相互間で輸送実績に応じて運賃の精算を行う場合は,単に振替輸送と称する。また,荷物営業を行っている鉄道区間で,鉄道に代えてトラックによる輸送を行う場合,これを自動車代行輸送と称している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「代行輸送」の意味・わかりやすい解説

代行輸送
だいこうゆそう

鉄道に代えて自動車によって輸送を代行させること。貨物輸送については,不採算地方線区の合理化・集約輸送化のためにトラックに切替える場合や,東京の山手線のような線路容量に余裕のない大都市線区における荷物電車代行トラック輸送などがあり,旅客輸送では,JRバスが鉄道新設までの暫定輸送を行う場合などが,その例である。また,災害の場合の自動車振替輸送もこれに含まれる。輸送ロットの小さい自動車は,貨物量および旅客量の少い区間の輸送に適しており,地方赤字ローカル線の廃止に伴って,多くの地域で自動車輸送に代替されていった例もある。

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