仙酔島（読み）センスイジマ

デジタル大辞泉

せんすい‐じま【仙酔島】

広島県南東部、福山市鞆ともの浦の沖300メートルにある島。面積0.9平方キロメートル。瀬戸内海国立公園の中心に位置する。西南方の海岸に1キロメートルにわたってわが国唯一の五色岩（赤・青・黄・黒・白）が続く。さまざまな海食門のある島の西側の一部は「鞆公園」として国の名勝に指定。夕日が美しいことで有名。昔、平清盛が厳島いつくしま神社をこの地に移そうとしたと伝えられている。名の由来は「仙人が酔うほどの美しい島」から。

出典　小学館

日本歴史地名大系

仙酔島
せんすいじま

• 広島県：福山市
• 鞆地区
• 平村
• 仙酔島

[現在地名]福山市鞆町後地

鞆の東にあり、周囲約四七町。鞆周辺には仙酔島と鞆の間に弁天（べんてん）島（百貫（ひやつかん）島）、仙酔島の東南につつじ島、西南に皇后（こうごう）島、鞆の南に玉津（たまつ）島・津軽（つがる）島（洲上（すがる）島）などがあり、岩礁も多い。これらの島々は、元禄検地以降いちおう平（ひら）村領分に属したが、そのほとんどが藩有林に指定されており、仙酔島の御林二六四町の下草刈などの用益は、もと後地（うしろじ）村一村であったことから原（はら）・平両村の入会となっていた（備後郡村誌、福山市史）。なお、仙酔島の田浦（たのうら）・大浦（おおうら）には耕地もあり、下々畑・砂畑合わせて七反五畝二〇歩・二石二斗九合が記録されている（元禄一三年の「後地村御検地水帳」広島大学蔵）。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」

日本大百科全書(ニッポニカ)

仙酔島
せんすいじま

広島県南東部、福山市の鞆の浦(とものうら)にある小島。面積0.92平方キロメートル。最高点は159メートル。地質は、中生代白亜紀に形成された流紋岩が仙酔層とよばれる頁(けつ)岩・砂岩層を挟む。七浦七湖の絶景や海食洞がみられ、瀬戸内海国立公園の重要な拠点の一つである。海食洞窟(どうくつ)、仙酔層と岩脈は県の天然記念物。春のタイ網、夏の海水浴、秋の紅葉と四季を通じて訪れる人が多い。島内には遊歩道がある。鞆から渡船で約5分。国民宿舎があるが、2000年（平成12）の国勢調査では、定住者はいない。

［北川建次］

[参照項目] | 鞆 | 福山（市）

鞆の浦

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

改訂新版　世界大百科事典

仙酔島 (せんすいじま)

広島県東部，福山市鞆（とも）の東方海上に浮かぶ面積0.9km²の小島。周辺に弁天島，つつじ島，皇后島などの島々があり，この一帯は瀬戸内海国立公園のなかでもとりわけ景色が美しく，国の名勝に指定されている。江戸時代に鞆港に寄泊した朝鮮の国使李邦彦も〈日東第一形勝〉と賞賛している。仙酔島は中生代白亜紀の流紋岩および流紋岩質凝灰岩からなるが，その下位にある仙酔層および島の周囲には海食洞窟・洞門が認められる。春のタイ網，夏の海水浴，島めぐりと観光客が多く，宿泊施設もある。
執筆者：藤原 健蔵

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

百科事典マイペディア

仙酔島【せんすいじま】

広島県福山市南部，鞆(とも)の沖にある島。周囲5km，最高点159m。松林が茂り，周辺には皇后島，弁天島などの小島が散在する瀬戸内海国立公園中の景勝地で，海水浴にも適する。国民宿舎があり鞆から渡船がある。
→関連項目福山［市］

出典　株式会社平凡社

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

仙酔島
せんすいとう

広島県南東部，福山市鞆 (とも) 港の面前に皇后島をはさんで浮ぶ島。福山市に属する。七浦七湖の景勝や海食による八洞窟の奇観があり，春のタイ網が有名。四季を通じて観光客が多く，鞆公園 (名勝) ，国民宿舎がある。海浜を中心とする鞆の浦一帯は瀬戸内海国立公園に属する。面積 0.92km²。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典