付属肢(読み)ふぞくし(英語表記)appendage

翻訳|appendage

精選版 日本国語大辞典 「付属肢」の意味・読み・例文・類語

ふぞく‐し【付属肢】

〘名〙 体節動物が各体節ごとに一対ずつ有する肢。各種の動物において、疣足・葉脚・爪脚・触角・口器・胸脚・腹脚・歩脚遊泳脚・生殖肢・外肢などに分化する。

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デジタル大辞泉 「付属肢」の意味・読み・例文・類語

ふぞく‐し【付属肢】

体節のある動物で、各体節にある肢。昆虫などの節足動物では触覚・口器・歩脚などに分化している。

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改訂新版 世界大百科事典 「付属肢」の意味・わかりやすい解説

付属肢 (ふぞくし)
appendage

体節動物の各体節には1対の付属肢があるのが基本型である。ゴカイ類(環形動物)の各体節には,体壁の膨出したいぼ足がみられる。カギムシ(有爪動物),クマムシ(緩歩動物)の付属肢にはつめがあって,つめ脚となる。さらに節足動物になると,付属肢は分節して関節肢となり,先端節にはつめを生じ,機能的にも進化してくる。同時に体節の癒合や分化にともなって付属肢にも分化が生じる。頭節の付属肢は触角や口器(上唇,大あご,小あご,下唇など)となり,胸節と腹節の付属肢はそれぞれ胸脚,腹脚として,歩行や遊泳に用いられる。昆虫類は幼虫期に腹脚があっても成虫では退化するのが普通で,シミ,イシノミ類では残存する。腹部末端節にある付属肢は外部生殖器(雌では産卵管,雄では把握器など)や尾毛に分化する。なお脊椎動物の外肢(魚類ひれ,鳥類の翼,陸生動物の脚など)も付属肢である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「付属肢」の意味・わかりやすい解説

付属肢
ふぞくし
appendage

動物の体から突出する,いわゆる脚などの付属物。環形動物 (ゴカイなど) の疣足 (いぼあし) は,ほぼ各体節ごとにみられ,付属肢の原型的なものと考えられる。クマムシなどでは,先端に鉤をもつ爪足へと発達し,節足動物では関節をもつ関節肢となる一方,付属肢を欠く体節も生じ,またある付属肢だけが特に発達したり変形したりして,歩行,保持などの機能に関して完成してくる。触角,口器なども付属肢の変形である。脊椎動物では外肢といい,魚類の鰭も含めて,体の中央にある正中肢と,左右に対をなす有対肢に大別される。

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百科事典マイペディア 「付属肢」の意味・わかりやすい解説

付属肢【ふぞくし】

環形動物や節足動物などの各体節に,原則として1対ずつある肢。環形動物のいぼ足様のものから次第に発達して,節足動物では分節が起こって機能的になり,関節肢ともいわれる。昆虫の触角やクモの触肢,口器の各部分などのように,付属肢が変化して全く違った機能を果たしているものも多い。

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世界大百科事典(旧版)内の付属肢の言及

【足∥肢】より

…動物体の一部が突出して体を支え移動させる働きをする構造物は,一般に〈あし〉と呼ばれ,足・脚・肢の字が用いられるが,その区別は慣用的なものである。足と呼びうる特別な部分がなくても移動する動物は数多くあり(傘運動をするクラゲ類や蠕動(ぜんどう)運動をするミミズ類など),また足と同じような構造でも形・働きの違いから足と呼ばれないものも多い(節足動物の多くの付属肢など)。
【無脊椎動物の足】
 無脊椎動物の足は形成部位も構造もさまざまである。…

※「付属肢」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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