付加(読み)フカ

デジタル大辞泉 「付加」の意味・読み・例文・類語

ふ‐か【付加/附加】

[名](スル)
あるものに、さらに付け加えること。添加。「条件をもう一つ―する」
不飽和結合原子に、他の原子または原子団が結合すること。
[類語]充てる充当する充塡する当てはめる引き当てる補給塡補穴埋め拾遺追加補足補充補うカバー加味加える補塡補完相補補訂補綴ほてい増補補遺足す添える加わる付け足す付け加える付ける付する継ぎ足す花を添える添加添付肉付け割り増し

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精選版 日本国語大辞典 「付加」の意味・読み・例文・類語

つけ‐くわ・える ‥くはへる【付加】

〘他ア下一(ハ下一)〙 つけくは・ふ 〘他ハ下二〙 ある事物の上にさらに他の事物を添える。おもな事柄に、後から別のものを増し加える。付加する。
※仏国風俗問答(1901)〈池辺義象飲食物及び其の習慣「当国人は之を食ふにバタをつけ加へずただ肉の相手にガリガリムシャムシャと打ち食ふのみ」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一〇「他言はしないからと穏やかにつけ加へた」

つけ‐くわわ・る ‥くははる【付加】

〘自ラ五(四)〙 すでにあるものに、あとからさらに別のものが添えられる。
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「だから本当の意味で切実な駆落をするのは自分丈だと云ふ有難味がつけ加(クハ)はってくる」

つけ‐くわえ ‥くはへ【付加】

〘名〙 つけくわえること。付加(ふか)
※不安(1900)〈幸田露伴〉下「実際に見た厭な眼つきに空想附加へをして」

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改訂新版 世界大百科事典 「付加」の意味・わかりやすい解説

付加 (ふか)
addition

不飽和結合(C=C,C≡C,C=O,C=N,C≡Nなど)に水素ハロゲンヒドリドイオン,有機金属化合物,水,アルコール,酸などが付加する反応の総称で,有機反応のうちかなり多数の反応を占める。たとえば,式(1)に示すように,水素は適当な金属触媒パラジウム,白金,ロジウムなど)の存在下でアルケンに付加してアルカンを生成する。この場合,2個の水素は同じ方向から付加する,すなわちシス付加することが知られている。

二重結合に対して反応試薬がトランス付加する例としてよく知られているのは,式(2)に示すようにアルケンへの臭素の付加である。この場合,2個の臭素は二重結合平面の互いに反対の側から攻撃する。

同様にトランス付加を行う例として,式(3)に示すように,シアノセレン化反応があげられる。フェニルセレノシアナートPhSeCNは四塩化スズ(Ⅳ) SnCl4の存在下でアルケンに容易に付加してセレニドを与える。この反応はアルケンにシアノ基-CNが付加する珍しい反応として最近報告された。

カルボニル基など求電子性不飽和結合には,H⁻,CN⁻,グリニャール試薬などの種々の求核試剤が付加してOHを含む化合物を生成する(式(4))。

シッフ塩基などのC=N結合もほぼ同様な反応を行う。C≡N結合に水が付加するとアミド-CONH2に変換される。アセチレンに水銀塩を触媒として水を付加させ,アセトアルデヒドを合成する反応は工業的にも重要である。
グリニャール反応 →付加環化
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百科事典マイペディア 「付加」の意味・わかりやすい解説

付加【ふか】

有機化合物の二重結合,三重結合などの不飽和結合に,水素,ハロゲン,ハロゲン化水素,水など他の分子が結合する反応をいう。 CH2=CH2+H2→CH3−CH3 CH3C≡N+H2O→CH3CONH2ジエン付加(ジエン合成)なども付加反応に属する。付加によって高分子化合物を生ずる反応を付加重合という。
→関連項目重合不飽和化合物

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化学辞典 第2版 「付加」の解説

付加
フカ
addition

付加反応ともいう.2個以上の分子が直接結合して単一の分子をつくる反応.有機化学では,とくに

などの不飽和結合に,水素,ハロゲン,ハロゲン化水素,水,アルコール,酸などが付加する反応が重要である.付加には,求核付加,求電子付加,ラジカル付加,付加環化がある.

    CH2=CH2 + Br2 → CH2BrCH2Br

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「付加」の意味・わかりやすい解説

付加
ふか

付加反応」のページをご覧ください。

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