今官一(読み)コンカンイチ

デジタル大辞泉 「今官一」の意味・読み・例文・類語

こん‐かんいち〔‐クワンイチ〕【今官一】

[1909~1983]小説家青森の生まれ。日本浪曼派にほんろうまんは参加、叙情的なタッチで戦争体験や歴史テーマとする小説を執筆した。「壁の花」で直木賞受賞。他に「幻花行」「牛飼いの座」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「今官一」の意味・わかりやすい解説

今官一
こんかんいち
(1909―1983)

小説家。青森県生まれ。早稲田(わせだ)大学露文科中退。1933年(昭和8)太宰治(だざいおさむ)らと同人誌海豹(かいひょう)』を創刊、ついで『日本浪曼(ろうまん)派』(1935)に参加した。40年創作集『海鴎(かいおう)の章』刊行。56年(昭和31)創作集『壁の花』で直木賞受賞。ほかに戦中長門(ながと)」に乗艦した体験に取材した『幻花行』(1949)、『不沈戦艦・長門』(1972)、歴史小説『牛飼の座』(1961)など。叙情性豊かな芸術派的作風に特色がある。

[東郷克美]

『『今官一作品』全2巻(1980・津軽書房)』

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百科事典マイペディア 「今官一」の意味・わかりやすい解説

今官一【こんかんいち】

小説家。弘前市生れ。早大露文科中退。早稲田高等学院時代にプロレタリア映画同盟加盟。《海豹》《青い花》などの同人誌を創刊。1935年〈日本浪曼派〉に参加。1944年応召,この時の経験もとに《幻花行》(1949年)を執筆した。《壁の花》(1956年)で第35回直木賞受賞。他に《海鴎の章》がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「今官一」の解説

今官一 こん-かんいち

1909-1983 昭和時代の小説家。
明治42年12月8日生まれ。昭和9年檀(だん)一雄,太宰(だざい)治らと同人誌「青い花」を発刊。10年「日本浪曼(ろうまん)派」に参加する。「海鴎(かいおう)の章」「幻花行」などで注目され,31年「壁の花」で直木賞。昭和58年3月1日死去。73歳。青森県出身。早大中退。

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