精選版 日本国語大辞典 「仁義」の意味・読み・例文・類語
じん‐ぎ【仁義】
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中国,古代,孟子の中心思想。孔子は人間の最上の徳として,もっぱら仁を説いた。孔子をつぐ孟子は,人は生まれながら善なる性の端緒を備えもつと考え,また,君主が仁政を行って民に恩沢をもたらすことこそ政治であると考えた。そこで仁義礼智の四徳から,博愛をいう仁と,正義をいう義とを並べて道徳の基本理念とし,仁義を説くことによって,人が自己の人間性を完成させることを期待した。
執筆者:串田 久治 日本でも,戦国時代の武将にとっては政治規範として,江戸時代の士道論においては社会的秩序の規範として仁義がとらえられた。博徒の仁義は武士道徳の変形として親分子分の関係を律し,同時に〈仁義を切る〉という挨拶の型も生み出した。
執筆者:須山 努
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…コミュニケーション作法【野村 雅一】
[日本]
挨拶は〈一挨一拶〉というように,中世の禅僧によって応答,問答するという意味で使用された語がしだいに一般化したものであり,それに相当する古くからの言葉ははっきりしないが,〈いや(礼)〉はそれに近い語であろう。各地の日常語ではジンギ(仁義)が挨拶の同義語として使用されてきたし,また単にモノイイ(物言い)ともいった。日本人の挨拶行為は,他人と身体を接触させることなく,一定の距離をおいて向かいあい,互いに上体を曲げ,頭を下げることを基本にしており,その曲げ方や下げ方は相手や場面によって異なる。…
…ことがらの妥当性をいう。儒教では五常(仁義礼智信)のひとつとして重視され,しばしば〈仁義〉〈礼義〉と熟して使われるが,対他的,社会的行為がある一定の準則にかなっていることをいう。《礼記(らいき)》礼運篇では人の義として,父の慈,子の孝,兄の良,弟の弟(てい)(目上の者に対する従順さ),夫の義,婦の聴(聴き従う),長の恵,幼の順,君の仁,臣の忠の十義を列挙する。…
…この原理論を気一元論という。天道(自然界)と天(世界の支配的存在)と人道(人間社会)を区分して,天道の展開は気の運動法則を通じて認識可能,天の意思は不可知でひたすら受容すべきもの,人道の法則は自然的な気の運動傾向によって説明すべきでなく,人間固有の仁義(道徳)としてとらえよと主張する。仁義は,人がもっている自然の本性を拡充して社会の習慣や人情と合一させることによって達成されるが,その際,個人的な生活条件を尊重することが必要で,至公(一律の普遍性)を強調するだけでは弊害があるという。…
…〈やくざ〉の語源は〈八九三のブタ〉といい,賭博(とばく)のいちばん悪い目から出たというのが通説である。たとえば,喜多村信節《嬉遊笑覧》(1830)には,〈亡父語りしは,我覚えてより新言葉三あり。やくざ,べらぼう,今一つは何とやらいひしが,是もと博徒のことばにして,十とつまるは数にならず,八九三,二十とつまる故,悪きことの隠語を八九三といひ始めたるなり〉とあり,また同様の文言は他書にも見られる。つまり〈役に立たぬもの〉〈つまらぬ人間〉,そして〈遊び人〉を指して〈やくざ〉というにいたったものであろう。…
※「仁義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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