仁右衛門島(読み)ニエモンジマ

デジタル大辞泉 「仁右衛門島」の意味・読み・例文・類語

にえもん‐じま〔ニヱモン‐〕【仁右衛門島】

千葉県南部、鴨川市沖にある小島石橋山の合戦に敗れた源頼朝を、平野仁右衛門がこの島にかくまったと伝える。

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日本歴史地名大系 「仁右衛門島」の解説

仁右衛門島
にえもんじま

[現在地名]鴨川市太海浜

太海浜ふとみはまの約二〇〇メートル沖合にある。波太なぶと島・よもぎ島ともよばれる。島の周囲は約四キロで、イソギクハマカンゾウなどの海浜植物も豊富で、外房を一望できる自然美に恵まれた島である。県指定名勝。平野仁右衛門家が代々居住している。源頼朝が安房に渡った時、この島の仁右衛門なる者が迎えて厚く遇したことにより、のち頼朝から礼として与えられたと伝えられる。島の居住権、島付近の漁業権ともに平野家のもので代々連綿と続いている。元禄一六年(一七〇三)に大津波に襲われ、被害を受けている(同年一一月二九日「堀田文左衛門等書状」日本地震史料)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仁右衛門島」の意味・わかりやすい解説

仁右衛門島
にえもんじま

千葉県南部,太平洋に臨む鴨川市の太海海岸(ふとみかいがん。→太海)にある小島。別称波太島(なぶとじま)。周囲 1.2km,面積約 0.2km2。代々平野仁右衛門を名のる島の所有者が居住。新第三紀に属する砂岩からなり,周囲には海食台(→波食台)が発達,旧汀線が数次の隆起の跡を示している。老マツ,大ソテツや,源頼朝日蓮上人にちなむ遺跡があり,県指定の名勝。南房総国定公園に属し,太海海岸とともに観光地域を形成

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仁右衛門島」の意味・わかりやすい解説

仁右衛門島
にえもんじま

千葉県南部、鴨川市(かもわし)の太海海岸(ふとみかいがん)にある小島。浜波太(はまなぶと)漁業集落の沖100メートルに位置する砂岩・泥岩からなる隆起海食台の島で、周囲4キロメートル。南房総国定公園に属し、県の名勝に指定されている。明治時代には波太島とよばれていたが、その後、島の所有者平野仁右衛門にちなんで改称された。1180年(治承4)石橋山の戦いに敗れた源頼朝(よりとも)が安房(あわ)へ逃れた際、島の住人平野仁右衛門に助けられた恩賞として島と沿岸の漁業権を与え、平野家は代々島主として世襲し今日に続いている。島内に平野家住宅、頼朝が隠れた洞穴松尾芭蕉(ばしょう)句碑、蓬島(よもぎしま)弁財天、亀岩(かめいわ)などや海浜植物群落がある。海水浴場や釣り場もあり観光客は多く、島へは専用の渡し船で連絡する。世帯数1(2000)。

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