交叉申込み(読み)こうさもうしこみ(英語表記)Kreuzofferte

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「交叉申込み」の意味・わかりやすい解説

交叉申込み
こうさもうしこみ
Kreuzofferte

当事者双方が偶然同一内容の「申込み」をすること。たとえばAがBにある物を1万円で売りたいと申込み,他方BはAの申込みを知らずに同一の物を1万円で買いたいと申込んだ場合をいう。契約は「申込み」に対する「承諾」によって成立するのが普通であるが,交叉申込みの場合にも契約成立に必要な意思表示合致があるので,民法規定はないが,これによって契約が成立するものと考えられている (ただし民法 526条1項の準用なし) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の交叉申込みの言及

【申込み・承諾】より

…隔地者に対する承諾期間の定めのない申込みは,申込みの撤回が許されない相当期間が経過した後に撤回すれば,申込みの効力は消滅するが(524条),この申込みの撤回は,相手方に到達してから効力が生ずるので(97条1項),承諾の発信前に相手方に到達する必要がある(ただし,527条2項参照)。
[交叉申込み]
 なお,AがBにある物を100万円で売ると申し込み,この申込みの受領前に偶然にBがAにその物を100万円で買うとの申込みをした場合のように,契約当事者が偶然に同一内容を有する申込みを相互にした場合を交叉申込みという。交叉申込みでは,申込みとそれに対する承諾という関係での二つの意思表示はないから契約の成立は認められないわけであるが,相互に相手方の承諾があれば契約を成立させようとする意思の合致が存在し,その内容においても合致していることから,契約の成立を認めてよいと解されている。…

※「交叉申込み」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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