普及版 字通 「亡(漢字)」の読み・字形・画数・意味
亡
常用漢字 3画
(旧字)
3画
(異体字)无
4画
[字訓] しぬ・にげる・ほろぶ・なし
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
死者の屈肢の形。〔説文〕十二下に「るるなり」とし、入+(いん)の会意字で、僻処ににげ隠れる意とするが、乏・(こう)などと同じく死者の象。はなおその頭髪を存する形である。无(む)はの異体字。死去の意より亡失の意となる。亡命者を亡人といい、亡命のときには死葬の礼を用いた。否定詞に用いるのは無・などと同じく、仮借の義である。
[訓義]
1. しぬ、なくなる、死亡。
2. にげる、亡命。
3. ほろぶ、滅亡。
4. なし。無・などと同じく、仮借の義。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ナシ・ホロブ・ナイガシロ・ニグ・ウス・シヌ・ウスシ 〔字鏡集〕 ウク・ニグ・ウス・ナシ・シヌ・ホロブ・ヤスミ・ウスシ・ワスル・ナイガシロ・カタブク・アマレリ・ウシナフ
[部首]
〔説文〕に乍(さく)・(望)・無・(かい)の四字をこの部に属する。乍は枝を撓(たわ)める形で、まがきを作り、木の枝を圧窄する象。はもと臣(目)に従う形で、遠くを望む望気の礼。無は(舞)の初文で、褒袖の人の舞う形。また〔説文〕十二下が無の奇文としてあげる无は、の異文。は勹(ほう)+の形で屍骨の象。この字だけがに従う。この屍骨の呪霊によって祈るので、は祈(きかい)・求の意に用いる。曷(かつ)はと曰(祝詞)とに従い、喝して求め、謁して求める意である。
[声系]
〔説文〕に声として喪・・肓・(忘)・長・・(妄)・氓など十八字を収めるが、喪・肓(こう)・長・などはその声ではない。喪は犬牲に従う字、長は長髪の人、肓は胸骨の形に従い、は屍骨のになお頭毛を存している形で、(荒)の初文。〔説文〕のこの部には字説を誤るものが多い。
[語系]
miuangの本義は死亡。滅miat、蔑myatは声が近く、滅は火を以て祓う意、蔑(べつ)は媚女(呪祝をする巫)に戈(か)を加えてその呪力を絶つ意。一応否定的な意をもつ。罔miuangは同声で(網)の初文。無・毋miua、靡miai、末muat、未・勿miut、makなども声近く、否定詞に用いる。は(暮)の初文で、これも一応否定的な意をもちうる語である。この系統の音が、否定詞に用いられる。
[熟語]
亡霊▶・亡術▶・亡状▶・亡頼▶・亡聊▶・亡逸▶・亡軼▶・亡▶・亡帰▶・亡機▶・亡去▶・亡▶・亡君▶・亡兄▶・亡欠▶・亡闕▶・亡戸▶・亡故▶・亡国▶・亡魂▶・亡散▶・亡▶・亡児▶・亡失▶・亡室▶・亡日▶・亡者▶・亡酒▶・亡臣▶・亡人▶・亡政▶・亡絶▶・亡走▶・亡徴▶・亡逃▶・亡匿▶・亡徳▶・亡八▶・亡▶・亡父▶・亡敝▶・亡逋▶・亡命▶・亡滅▶・亡羊▶・亡虜▶・亡隷▶・亡謂▶・亡射▶・亡益▶・亡何▶・亡窮▶・亡形▶・亡芸▶・亡辜▶・亡罪▶・亡識▶・亡実▶・亡道▶・亡用▶・亡慮▶
[下接語]
遺亡・荒亡・興亡・散亡・残亡・死亡・銷亡・陣亡・衰亡・存亡・殫亡・逃亡・悼亡・敗亡・捕亡・逋亡・補亡・滅亡・流亡
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報